タックスヘイブン税制の対象となる外国子会社を含んだ"組織再編成"で注意する点があります。
それは「適格要件」と言う存在です。
香港やシンガポール、あるいはオフショア国はなどでの収益は、常にタックスヘイブン対策税制(CFC)との兼ね合いを考えなくてはなりません。
外国に子会社を持たれている日本法人様の中には、仮にこうしたタックスヘイブンと言われる地域にご進出をされているような場合、"組織再編成"をすることでこの税制適用除外を目指す場合がございます。しかしながらその際に重要なのはこのタックスヘイブン対策税制には別途「適格要件」が存在していると言う事です。
一般的に申し上げて、日本の法人税法上で適格組織再編成(合併、分割、現物出資、株式交換、株式移転)が行われた場合、帳簿価額での資産負債の移転が認められるために譲渡損益と言うものは生じません。
ところがこれが国境を越えた組織再編成となると話が変わって参ります。何故なら軽課税国に移転資産の含み益を移転させるなどしてしまうと、言い方を変えるならば租税の軽減を図ることが簡単に実行可能となってしまうからです。従ってこれを防止するために設けられているのが「適格要件」というものです。
所得税における出国税の導入など、財産の含み益を海外に移転させる行為に関して、昨今様々な制度が導入されています。
また、今年9月には、OECDにおいて知的財産権に関する税務上の取扱いに関する議決が行われているなど、今後とも資産の海外移転に関して課税の強化が行われるものと考えられるところです。
このような状況にあって、タックスヘイブン税制の適用対象となる外国子会社が関与する組織再編成については法人税の十分な検討のほか、所得税や相続税などを含めた総合的かつ横断的な検討がますます必要になってくるものと考えられます。