日本政府観光局はこのほど2015年来日外国人数を発表しました。近年の傾向は顕著にアジア諸国寄りとなっておりましたが、今回も同様の傾向となり、そしてその中でもやはりトップを占めたのは中国となりました。特に中国は(香港を入れると)アジア諸国合計の40%強を占めるに至り、日本の観光産業やビジネスシーンに大きな影響を与えているのがこの傾向からも垣間見えます。
過去の推移を含めた具体的な数字を見て参りますと以下の通りとなります。
<以下、来日外国人数の推移>
(単位:千人)
区分 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 (速報値) |
参考 15年10月末 |
対人口比 (%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
総数 | 6,218 | 8,356 | 10,364 | 13,413 | 19,737 | 16,317 | 0.028 |
アジア計 | 4,724 | 6,388 | 8,116 | 10,819 | 13,755 | ||
中国 | 1,043 | 1,425 | 1,314 | 2,400 | 4,494 | 4,283 | 0.033 |
韓国 | 1,658 | 2,043 | 2,456 | 2,755 | 4,002 | 3,227 | 7.97 |
台湾 | 994 | 1,466 | 2,210 | 2,429 | 3,677 | 3,114 | 15.73 |
香港 | 365 | 482 | 746 | 926 | 1,524 | 1,236 | 21.20 |
欧州 計 | 569 | 776 | 904 | 1,048 | 1,058 | ||
北米 計 | 685 | 876 | 981 | 1,112 | 1,081 | ||
南米 計 | 32 | 51 | 50 | 57 | 54 | ||
オセアニア 計 |
189 | 241 | 285 | 347 | 341 | ||
アフリカ 計 |
19 | 25 | 27 | 28 | 27 |
※1 出典:日本政府観光局、なお対人口比は、2013年7月の各国の人口を基に算定しています。
※2 2015年の速報値の空欄は、未公表であるため、係数の記載をしていません。参考として2015年10月末時点の累計数を記載しています。
こうした実績を分析していくと、以下の4つの観点がポイントとなっているようです。
1. 2013年以降、急増傾向にある
2011年は、東日本大震災の影響からか、来日者数は27.8%の減少でしたが、2012年には、2010年の来日者数に回復し、2013年214万人増(24%増)、2014年305万人増(24.9%増)、2015年632万人増(47.1%増)となっています。2011年から比較しますと、2015年では1,352万人増(217.4%増)と約3倍となっています。
2. 全体的にすべての国等の来日者が増加している
詳細な情報を見ますとロシアからの来日者が減少していますが、ロシア以外の国や地域からの来日者は増加しています。
3. 東アジア及び東南アジアからの来日者が急増している
中国からの2015年の来日者は昨年比107.3%増と倍増しているほか、韓国、香港、ベトナム、インドからの2015年来日者は昨年比40%超となっているほか、台湾や東南アジア各国からの来日者数も20%超の増加となっています。
4. 対人口比では、香港、台湾がダントツ。
対人口比(2013年の人口比ですので不正確ですが)では、香港が21.2%で最も多く、次いで台湾が15.7%と5人から6人に一人の方が、来日されている計算になります。もっとも、複数回来日されている方も多いと考えられますし、香港の来日者の中には、観光目的ではなく商用で来られる方も少なくないのではと考えられます。
こうした傾向を考察すると来日者数の増加の要因は以下のような理由に起因するかも知れません。
イ) 円安、原油安、LLC航空の増加
ロ) 査証の緩和
ハ) マスコミ、インターネットでの日本情報の発信など
ニ) 日本特有のもの(本場の和食、アニメ、おもてなし、自然など)に対する興味など
勿論、来日を支える基本的な要因(円相場や世界経済の変動、政治的な軋轢など)の影響を受けることは考えられますが、各国とも日本への旅行に携わる業者が増加していることなどを踏まえますと2015年の来日者数を維持は最低ラインとして考えても良いかも知れません。