香港で企業活動をすると、その低い税率や緩い会社法を実感することが日常です。これはレッセフェール(自由放任主義)という基本的な「枠組み」がこの地には何十年にも渡ってそのバックボーンとして脈打っている裏返しでもある訳ですが、同時に上手くいっても行かなくても"放任"ですのでそうした所は何でも口を出して来るシンガポール等とは真逆の政策と言えるかも知れません。
さて、日本のお客様は日本からの投資として香港に進出をされるのが一般的でございますが、その現地法人が利益を出してくる段になると、親会社としては最終的に出資分相応の"キャッシュバック"を求めるのが普通です。また更に、その方法として送金分を果たして「配当」で行うのか、それとも「ロイヤルティー」で行なうのかと言う点も肝要なポイントとなって参ります。
仮に「配当」で行うと選択される場合は、源泉に関わるような課税は香港では発生致しません。そしてそのお金は日本の税制の一つである外国子会社益金不算入制度を適用することでかなり圧縮することが可能です。ではもう一つの方法である「ロイヤルティー」の場合はどうでしょう?この場合は上記の配当とは異なり、日本の親会社のような送金先、つまり香港から見て"非居住者"が送金先であるような場合、その総額の4.95%(総額×30%×16.5%=4.95%)が課税されてしまいます。
これは軽課税地域である香港にとっては大変めずらしい、しかしながら厳然と存在する課税項目であると言う事を覚えて置く必要があります。