香港は世界の国際金融センターとしてその立場をより磐石なものとする為、様々な施策を導入して参りました。以前の法人税率が17%だった時代もありますが、ライバルとされるシンガポールが同率を標榜すると、その税率を0.5%引き下げるなどして(結果:16.5%)その競争力を世界にアピールしたことなど記憶に新しいところです。
またこうした姿勢は依然として変わる事はないようです。常に新しいものを貪欲に導入する姿勢はまるで香港のDNAに組み込まれているかと言えるかも知れません。
昨年の2月25日、Financial SecretaryのトップであるJohn Tsang氏の予算スピーチの中では、香港はコーポレート・トレジャリー・センター(CTC=財務統括拠点)を敷く企業対象に、新たな優遇政策の導入を検討するという発表が御座いました。
更にこの発表から4ヶ月後に開かれた立法会においては、このアイデアはより具体的な前進を見せ、従来の16.5%と言う低税率から得られる法人税を、何とCTC関連から得られる所得に対しては半額(50%オフ=8.25%!)まで引き下げること、またクロスボーダーローンの支払利息の損金参入が認められるような枠組みを作って行くと言う事と言った内容骨子の提案が行なわれました。
これらを検討する背景と言うのは、香港そのものが今後より一層の多国籍企業のCTC拠点(或いは拠点候補)となる事により、これまで以上の"集客効果"を創出するということであったり、多国間に跨るクロスボーダーローンに対する支払金利の損金算入を受付けることで、これまた一層の「資金集中管理拠点」としてのポジションをアピールする事であります。
実際の可決と施行はまだ先の話ではありますが、こうした動きを作り続ける香港の価値が、将来的にもより強固になる事は想像に難くないのではないでしょうか。