この2ヶ月もの間、世界が共通の衝撃を持って迎えた出来事。それが南米パナマを拠点とする法律事務所『モサック・フォンセカ』が手配を施していたデータである『パナマ文書』でした。その内容は世界のセレブリティーとされる人間の資産データだけに留まらず、地球規模の有数企業なども名を連ねていたと言う事もあり、こうした事で世界中に点在するタックスヘイブン・マーケットの立ち位置を揺るがしています。
ところがこの情報公開後からこれは何等かの"選別"基準が存在し、発表側(ICIJ=国際調査ジャーナリスト連盟)によって事前に情報の選別がなされているのではないかと言う噂が囁かれています。
それもアメリカ主導で。
それを裏付ける理由(或いは事象)は幾つかあります。
① 先ず情報元となってしまったモサック・フォンセカ法律事務所が在する国、パナマと言う国はほぼ地理的にも歴史的にもアメリカの"属国"と形容されるに等しい事。
② そしてこの文書の監修を任されて発表を行った上記の『ICIJ』と言う機関は、もともとアメリカ政府系のNGOが資金の過半が提供され運営されている機関である事。
③ 更にアメリカの著名人や有力企業などが殆どこの文書の中で挙げられていない事。
④ またFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)を他国(の金融機関)に要求する事で国外退避しているアメリカ人及びアメリカ企業の資産データの公開を迫った事。
⑤ そうして置きながら世界的機関であるOECD(経済協力開発機構)が敷く『共通報告基準』にアメリカは参加する事を見合わせている事。
⑥ アメリカ国内には、実は幾つかの州で"タックスヘイブン化"している税制を敷く州がある事(例:デラウエア州、ネバダ州、ワイオミング州、サウスダコタ州)。
上記のポイントを軸として、もしアメリカが世界中に点在している他のタックスヘイブン地域や国に集まっている膨大な富を自国にのみ集中させたいと願っていたとしたら、これは恐るべき策略と言えるでしょう。そしてそのレールは既にこの4月から"出来上がってしまっている"と言う見方すら出て来ています。
何故ならアメリカ国内の"タックスヘイブン"州に対して富の集中が起こるとアメリカ自身の国力は安定するだけでなく、預けた資産家にとっては、OECDの『共通報告基準』を遵守する必要はなくなり、そのまま低税率制度を享受出来る事になるですから。。。
こうした事を今後このまま他の列強国が見過ごすかどうかは別の議論になりますが、貴方だったらこのパナマ文書の真の意図をどのように読み取りますでしょうか?