タックスヘイブン対策税制と言うものは、ひと言で申し上げると低税率の国・地域に日本から進出した企業所得に日本からまとめて課税を行うと言う税制のことです。"低税率"と言うのは法人税率が20%未満(2016年12月現在)のことを言い、香港やシンガポールと言った地域や国もその範疇に入ることになります。
往々にしてこうした低税率の国へ進出する典型的な形と言うのは"ペーパーカンパニー"が常道となるのですが、では政府・与党はこの部分に如何なる視点からの変更を書き加えようとしているのでしょうか?
それは、(事業構造上)こうしたペーパーカンパニーでも"やむを得ないケース"と言うものがいくつも存在し、またこれらを巡って税務当局と企業が訴訟合戦を行って来たと言う経緯がある為です。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、香港の会社、特に製造子会社は中国などの委託加工工場に原材料を提供し製造工程を指示をすると言う役割を担うパターンが多く、これらを十羽一絡げで一斉課税としてしまうと海外展開している日本企業そのものの勢いを削いでしまうことになりかねません。
『経済再生』を命題とする政府・与党の主旨そのものに反するとの判断が根底にあり、結果、"製造への主体的な関与"が判別出来るようであれば、タックスヘイブン対策税制上の対象外となるとの事です。これが実際に適用される事になれば、香港や中国で奮闘する日系企業様にとってはひとつの朗報となるニュースであることは間違いありません。