香港やオフショアなどを対象とした海外法人設立業界に置いて今年"最大のニュース"として世間を騒がしたトピックと言うのは『銀行口座』に係わることでございました。特に新規口座開設に関する銀行側の要求事項は今や"ヒステリック"と称しても過言ではなく、開設希望者と銀行の関係はこの僅か半年間で"一変してしまった"と言うのが現場からの正直な感想でもあります。
では2017年、このトレンドを取り囲む状況と言うのはどのようになって行くのでしょうか?
先ず2017年の最初の"変動"と言うものは、OECD主導であるCRS(自動的情報交換制度)の最初の対象年度になると言う事です。実際の情報交換行為そのものは年に一度の割りで行われることとなり、この2017年の間に発生した海外口座の金額や動きに関するレポートと言うのが各国の税務局間で2018年度に行われると言う流れに繋がって参ります。
そしてこの動きの対象国というのは今や世界中で張り巡らされようとしている『租税条約』に署名した国々となり、香港と日本についてもこの初回から、レポート交換の対象となって参ります。またそれだけでなく、海外口座開設についても日本のマイナンバーを記入する義務が付加(HSBCなど)されるとの事ですので、個人を筆頭とした各種の海外資産に纏わる情報は、今後世間に徐所に"表出"して行くと言う流れになる事は否めません。
そんな環境の中で個人・法人が今後考えて行かなくてはならない事と言うのは、ルールの中で勝負をすると言うことです。何故なら過度な『節税プラン』と言うものは、(当局側などから見れば)『脱税行為』と捉えられる可能性が大きくなり、結果としてお客様自身が"危ない橋を渡る"と言うことになり兼ねないからです。
香港やシンガポールと言った国際金融センターの真の利用価値と言うものは、従来から確りと構築されている税制度とそれを受け止める市場性にあります。こうした点を充分理解した上で計画立案をする事が、これらのマーケットの旨味を最大限利用することとなるのであり、それが最終的にお客様の目指す利益に繋がることとなるに違いありません。