毎年この時期になりますと観光庁から来日外国人数の発表があります。経済を押し上げるのは何も商社や貿易、或いは銀行、証券と言った業界だけではなく、それ以外の産業、特に世界が絶賛する日本のサービス業や観光業も重要なポジションを占めていると言う事に異論を挟む方は居ないでしょう。
観光庁の発表の中にも大きなインパクトを残した部分と言うのは、先ずその来日外国人数です。全体の傾向として、それまで過去最高であった2015年の来日外国人数(1974万人)を、2016年の結果は更に更新する形(2404万人)となりました。その内訳はと言うと、中国がダントツの一位(603万人)であり、それに続くのが韓国(509万人)、そして3位が台湾(417万人)となっています。
中国の場合は2015年の入国ビザ緩和と言う要因を機に一気に来日者数が急増すると言う要因がありましたが、それを割引いたとしても継続的に来日者数が上昇したと言うのは、ある意味、驚異的な結果であったと言えるかも知れません。他方、これを『増加率』という切り口で見て参りますと、意外にもインドネシアが32.1%増し(2015年⇒2016年)でトップとなり、それに続くのがフィリピン(29.6%増)、そしてマレーシア(29.1%増)となります。
また目的地別の傾向で見て行くと、やはり都市部(東京、大阪、京都、奈良)などがトップに名を連ねていますが出身国によって訪問地の傾向に多少のバラつきがあり、例えば韓国からの観光客などは福岡の割合が高く、また東南アジアからの来日者は山梨県(⇒富士山観光が目的?)が多かったり、香港からの訪問者は北海道などにも足を伸ばしていると言った具合です。
こうして来日外国人数が増えることは日本の経済の活性化に繋がる訳ですが、その受入先となる宿泊施設も同様に多様化を見せ始めています。
そこで新たな問題としてクローズアップされて来ているのが、『違法民泊』の問題です。
違法民泊の多くは個人所有の物件を外国人に貸し出すもので、所有者自身が常時施設を管理できないと言う状況が生まれてしまい、外国人旅行客が住宅街のマンションやアパートで夜遅くまで騒いでいる、或いはごみを分別せずに路上に出す等々...、世間からは徐所に厳しい視線が向けられ始めている状況です。
"APAホテルvs中国"と言った軋轢が在留中国人を中心にしたデモ行為にまで発展したと言う事件が現在国内の話題を席巻していますが、こうした違法民泊の問題も今後大きな事件に発展して行く可能性は否定出来ません。