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恒久的施設無しでも課税対象となってしまう取引の恐ろしさ

更新日:2017年05月16日

日本に恒久的施設がない法人や個人であっても、日本法人の株式を売却した場合には、日本の法人税や所得税が課税される場合があるのをご存知でしょうか?以下は敢え無く課税対象となってしまったケースですので近似の取引や構造をお持ちのお客様は至急検討して行く必要があります。


設例:
ドイツ法人A社は、シンガポールにアジア統括会社B社を設置するとともに日本法人C社の株式の全部を保有させていた。日本法人の業容を拡大するにあたり、本社直轄とする為、ドイツ本社はシンガポール法人から日本法人の株式の全部の譲渡を受ける事となった。

A社は、この段階で日本の法人税法及び日本とシンガポールとの租税条約に関して十分な検討を行わず、結果として日本での法人税の申告を行っていなかった。その、為後日シンガポール法人は日本の税務当局からの指摘を受ける事となり、期限後申告を行ったが無申告加算税15%の課税処分を受ける形となってしまった。


解説:
日本に恒久的施設を有していない場合であっても、日本の法人税や所得税が課税される場合がある事を今一度肝に命じて置く必要があります。例えば、日本に所在する土地建物などの譲渡益については、源泉の概念から日本で課税される事になります。また、株式等の譲渡でも、不動産化体株式の譲渡や事業譲渡類似の株式譲渡については、原則として日本で課税されることになります。

事業譲渡類似の株式譲渡とは、25%以上の株式等を保有している株主が5%以上(1年当たり)譲渡した場合の株式の譲渡を言います。設例の場合には、シンガポール法人は日本法人の株式の全部を保有しており、その全部を譲渡してしまいましたので、事業譲渡類似の株式譲渡に該当し、日本での法人税が課税されることになってしまいました。

もっとも、この事業譲渡類似の株式譲渡を所在地国課税(譲渡した株式の発行法人の所在地)としている国は余り多くなく、租税条約で日本の課税が排除されているケースが少なくありませんが、日本とシンガポールの租税条約では、所在地国課税としていた為このような結末となってしまった訳です。何にしましても、事業譲渡類似の株式譲渡の際には関係者は十分に注意する必要があります。

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