香港には世界的な教育文化機関であるユネスコ(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization)から認定されている自然遺産の一つがあります。それが「地質公園(=ジオパーク)」と言われるところで、2004年にユネスコ組織の一つとして設立された"世界ジオパークネットワーク"から2011年に自然遺産として正式に認定を受けました。
この場所の正式名称は「中国香港世界地質公園」と言い、日常では地元の方々はもとより、アウトドアを好む国内外の旅行者などが頻繁に訪れています。
ではユネスコが定める地質公園(=別称では"ジオパーク")の定義と言うのは一体何なのでしょうか?
それは以下に挙げる5つの査定基準をクリアしている地質遺跡となります。
⑴一定規模と範囲に渡る地質遺跡があること
⑵地質学的価値と自然景観に恵まれていること
⑶自然生態と融合していること
⑷現地の文化や歴史と融合していること
⑸健全な企画と管理システムがあること
またジオパークそのものの設置目的と言うのは以下のものとなっています。
⑴貴重な地質遺産の保護
⑵地球の科学知識の普及
⑶ジオツーリズムを通じた社会的、経済的な持続的発展の促進
こうしたことを準備することで香港の自然もユネスコのような巨大組織から認可を受けることになった訳ですが、では実際に香港の"大自然"と評されるこの「中国香港地質公園」は一体何処にあり、そしてそこに生息する動物などはどのような環境下に居るのでしょうか?
先ず、この中国香港地質公園の所在地と言うのは、西貢地区(西貢火成岩地区)と新界東北部推積岩地区になります。ここは世界的にも珍しい六角柱状節理群と広大な海岸のコンビネーションが素晴らしい景観を作り出しているところです。
またこうした景観だけでなく、香港の全土の40%と言うのは、実は行政区政府から保護地区に指定されていて、そこには生態系の高度な多様性が確保されている為に多くの生物が人間から必要以上に晒されることなく生息しています。また、こうした地域の主要な植物帯は森や草原などから構成されており、香港の次生林に関して言ってもいまでは中国南部の沿岸部に於いて"最も豊かな森の一つ"と評されるほどなのです。
そこには実に2000を超える導管植物があり、その内、樹木は400種を越え、そうした環境下で生きている自然生態の種は、たとえば蝶であれば240種を上回り、160種の淡水魚や100種を越える爬虫類と両生類、また500種を超える鳥類や60種に迫る数の哺乳類動物が認識されているほどです。
こうした強力な"題材"があるゆえ、香港はジオパーク計画を推進することで、今後一層、世界中からの訪問者を集うことに邁進しています。またこうした試みが、今までの定番のイメージであったグルメやショッピング、金融などと言った"偏重なもの"から、より"バランスの取れた"香港のイメージを国際的に高めたいと言うものも意図としてあるようです。
このように、皆さんが"一般的にイメージする以外の香港"が、この中国香港地質公園の中には満載であり、特に何度も香港に足を運んでいるような方々は是非、一度はこの地質公園=ジオパークに足を運んで見ては如何でしょうか?きっとそこには地質公園の持つ"この世のものとは思えない"自然が作り出した岩石の美しさや自然に溢れる海岸線、また沢山の動植物に遭遇することでしょう。