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御社はどの方法を採用?海外勤務者用の基本給に対するアプローチ方法

更新日:2017年08月28日

海外と言う視点でビジネスを眺めた場合、そこには日本からの必ず駐在者や出張者と言った存在があります。特に海外赴任となると生活面でなくビジネスの慣習の差異などから駐在者の負担と言うのは相当のものがあると言っても言い過ぎではありません。

さて、そんな駐在者の為に企業が出来ることの内のひとつと言うのは、こうした状況下にある社員の為の給与を「手当て」と言う形などで手厚くすることが挙げられます。或いは「基本給」としてしっかりとした体系を作ることで、より一層安心した環境下での運営を任せて行くと言うものもあります。

海外勤務者の給与、特に海外基本給の決定方式と言うのは大きく分けて「別建て方式」、「購買力補償方式」、そしてこの両方を併せた「併用方式」の3つがあると考えられています。

それぞれの定義を申し上げると、先ず、「別建て方式」とは単純に国内給与を反映させず、国外給与を全くの別の基準値として設定する計算方法を言います。

次の「購買力補償方式」とは、日本での生活費はこのくらいと言う金額の指標をベースにして、勤務都市毎に決められた「生活費指数」に「為替レート」を掛け合わせてことで算出する計算式のことを言います。

そして最後の「併用方式」と言う考え方は、日本国内での勤務時の基本給をそのまま現地給与とすると言う考え方であり、追加コストが発生した場合については別途支給すると言う分かり易いシステムです。


ではこれらの内、どちらが現在一番採用されているものなのでしょうか?

統計上の数値に寄りますと、1990年代ではこの部分について一番採用されていた計算方式とは「別建て方式」でした。しかしながら、2000年を迎える頃にはその数が大よそ半数程度まで下がり、今では殆ど無くなってしまっているとのことです。

反面、「購買力補償方式」が「別建て方式」に取って替わる形で躍進を遂げ、現在では圧倒的にこちらの計算方式が企業間で採用されているとの事です。結果、「併用方式」は上記の2つの丁度中間となります。


ではそれぞれのメリットとデメリットはどうなるでしょう?

先ず「別建て方式」は国内と国外の給与の仕組みそのものを全く別の給与体系として作ることであり、この作成には(大抵のケースに於いて)大手商社などの事例を参考にして導入されるのが一般的です。こうすることで効率的に完成度の高いものが自社に齎されると言う利点がありますが、同時に余り頼ってしまうと国内待遇と著しい差が発生することになり兼ねず、結果として駐在者は帰任した途端に給与激減等と言った憂き目に会うこともあります。


次に「購買力補償方式」は如何でしょうか?

これは"ノーロス・ノーゲイン"と言うコンセプトのもと、「生活費指数」及び「為替レート」の両方を使用することで海外基本給の数値を算出する方式です。こうした客観的な数値を使用することにより会社として海外勤務者の生活費を独自で算出する必要が無い為、人事担当など本件に直接絡むセクションの時間的なコストの削減に繋がると言う利点がありますが、例えばこの計算の根拠となる上述の「生活費指数」と言う数値を例に取って見ても、やはり多少なりとも全てを"平均化"してしまうような側面がある為、例えば同じような地域や国(例:東南アジアの国々)に駐在となる社員間で待遇の差が顕著に出たりするなどやや強引な解釈となってしまう部分があるのは否めません。


では「併用方式」は如何でしょう?

この方式は国内での手取金額をそのまま海外の基本給とする為(=併用する)、会社及び駐在者本人にとっては非常に分かり易いシステムではあります。しかしながら為替レートの変動の影響をモロに被ってしまう可能性がある為、その変動の程度によってはその基本給自体が勝手に下がってしまう等のデメリット面があります。

結果としてどの方法を使用するのはその会社ごとに違って来ることにはなりますが、海外の先兵として異国で頑張る駐在者のモチベーションも、実はこう言う一面での深慮が非常に大きな影響を与えるものであると言えます。

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