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香港にある"公的年金制度"、MPFについて

更新日:2017年09月26日

MPF(=Mandatory Provident Fund)と名の付く公的年金制度が香港で導入されたのは2000年12月のことです。

まさに21世紀に入る直前になって、ようやく香港市民にとって「年金制度」が正式に確立することとなった訳ですが、先ずこのMPFは、最初のM、即ちMandatory(強制)と言う単語がついているように、基本的に香港企業で働く全ての層の方々(企業の正社員やパートタイマーなど)を対象にしていて、企業と従業員双方が積立を行い、その従業員のリタイヤ時(65歳)まで運用、そこで溜まった金額を老後の生活に充当すると言う制度です。また、上述の通り"強制"と名が付いているが故、この制度は労働者全ての加入を義務付けるものとなっています。


ではこのMPFの構造とは一体どのようなものなのでしょうか?

MPFは毎月の従業員賃金3万香港ドルを上限として、その内の10%(会社負担:5%、社員負担:5%)を毎月雇用主が従業員のMPFの口座へ積立てて行きます。この制度の加入可能年齢は18歳以上65歳未満となっており、拠出金算定上の従業員給与額は(定義として)基本給、各種手当、ボーナスやダブルペイなど、全ての賃金が含まれることになっています。

また、従業員は、雇用開始から60日以内にMPF加入することが義務付けられており、これを行わない雇用主はMPF当局よりペナルティー等を被る可能性がありますので新たに進出をされるようなご計画がある企業様はこうした点にご注意頂く必要があります。


では反対に、このMPFについて加入が免除されるような対象の方々はいらっしゃるのでしょうか?この問いへの回答は"YES"であり、以下のような条件に該当するような方であれば積立の必要がありません。

<条件>
1.香港での滞在期間が13ヶ月以内の方
2.月間賃金HKD7,100以下の方
3.自国の年金制度に加入している外国人の方(例:日本の駐在者など)

上記の①と②に共通して言えることと言うのは、年金としての原資の膨らみが将来に渡って殆ど"期待出来ない"と言う理由や、生活上の"負荷"と言うのが背景として横たわっています。

例えば月収がHKD7,100ドルの従業員は、MPFの支払いが例え5%であったとしても、生活などへのインパクトは他の一般層と比較した場合、"小さい"とは言えません。但しこのような場合であったとしても、雇用主側の拠出に関してはその従業員への支払賃金の5%が従業員同様に免除されている訳ではなく、雇用主側はあくまでもその割合に応じた拠出金を納めることを求められています。その逆に、仮に従業員の月間賃金がHKD30,000を超えるようなケースとなると、雇用主側はその超えた部分(HKD30,001)以上のMPF拠出金を支払う必要がありません。

こうして積立てられて行く労使の拠出金は、預託された運用会社の設定する幾つかのオプション(投信)の中から自分の好みに合ったもので最終的に運用されて行くことになります。


ではこうしたMPFを運用する会社と言うのはどのような会社なのでしょうか?

一般的にこのMPFは年金と言う位置付けであるが故に長期間を前提とした積立てとなる為、その分野で豊富な経験を誇る生命保険会社系列(の信託)会社がその責を負って運用します。運用上のポートフォリオは事前にMPF当局やHKMA(香港金融庁)へ提出し許可を受けた範囲で行いますのでその意味ではアグレッシブなものは限定されていると言っても良いでしょう。尚、実際の加入方法と言うのは(MPFを取り扱う)保険会社や信託会社、或いは銀行などから直接加入する方法や、保険代理店を通して加入する方法等があります。

最後に気になるMPF償還のタイミングについてご案内します。

通常ですと長期に渡って積立られ、そして運用されるのがMPFの拠出金。年金作りの原資になるので長期間になるのは当たり前ではあり、従ってその引き出しについては受給資格者の死亡と言ったイレギュラーなことが無い限り、基本的にはその者が65歳に到達しないと受け取れないこととなっています。

また外国人(日本人含む)が現地採用枠などで香港に留まることでMPFに参加するようなケースに於いては、その外国人が香港を離れる場合については、1度に限って、MPFを解約して受取ることができますが、その後、再び香港に戻って就業をおこなう場合は上記の通り65歳まで受け取ることが出来なくなります。

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