日本は(やや軽減されたとは言え)依然として法人税だけでも30%近いものであり、更にこれに付加して住民税も掛かって参ります。香港はこの点に於いて(源泉的な意味を持つ)住民税などが企業に掛かることはなく、単純に16.5%のみ、つまり、上がった利益(課税対象利益)に対して単純にその数字を掛けた額を支払うだけのものとなります。
そして利益を上げた会社の次に取るアクションと言うのは、通常の場合、「配当金」として本社に還流させることになるのですが、これが香港のような軽課税地域・国に所在する現地法人(税制上では"特別外国子会社"と言われています)からのものとなると一種の"優遇措置的な税制"が日本には存在しています。
これが「外国子会社益金不算入制度」と言われるものです。
その概要はと言うと、この特別外国子会社から送られてくる配当額については(国内の取り扱いとは異なり)その95%が益金不算入、つまり"課税対象外"となっているところです。
こうすることで企業としては内部留保出来るキャッシュが増加し、結果として財務体質の改善に貢献することになって行くことになりますが、それではこの制度を申請するにはどのような要件と必要書類があるのでしょうか?
以下の必要書類をご覧ください。
必要書類:
1)特別外国子会社であることを証明する書類
→持株割合が25%以上であることと、配当等の支払義務確定日以前6ヶ月以上引き続き保有していることを証明できる書類(例:配当通知書や資本払い込みを証する書類)
2)特別外国子会社の決算書
→配当決議にかかる事業年度の貸借対照表や損益計算書及び株主資本等変動計算書、損益金の処分に関する計算書
3)外国源泉税がある場合には、それを証する申告書の写し等、納付済である場合にはその農風を証する書類
→源泉徴収票、納付書など
さて、こうした形でその制度を利用することで課税額軽減へと繋げて行くことになる訳ですが、次は、この「外国子会社配当益金不算入制度」と源泉税に係わる質問とその回答をご案内したいと思います。これは実際に弊社が承ったケースとなります
質問)
「外国子会社配当益金不参入制度」の要件を満たす外国子会社から配当を受領する際に、海外進出した先で"外国源泉税"が差し引かれていました。ちなみにこの差し引かれた"外国源泉税"、は日本の税金から差し引くことが出来るのでしょうか?また香港進出を検討しているのですが同様のケースに陥った場合、こういうことは起こり得ることなのでしょうか?
回答)
「外国子会社配当益金不算入制度」の適用を受ける特別外国子会社からの配当について課された外国源泉税については、外国税額控除の適用を受けることが出来ず、また外国源泉税は損金額に不算入となります。つまり、日本の本社側にとって見るとこれは単純にコストとなる為、結果的に(例えば)統括会社を設置するなどしてその会社経由の間接投資を行ったりする方がコスト減になってしまったりするケースも散見されます。
ちなみに香港では源泉税の概念が存在していない為、上記の取り扱いは発生しません。