海外駐在員にとって赴任先でのパフォーマンスは非常に重要です。何故なら結果如何によってはその後のキャリアに影響を与えるものですし、場合によっては会社全体のビジネスの将来にも影響を与え兼ねないものでもあるからです。会社としては、そんな海外駐在者に対して万全の準備を施した上で送り出したいと言うのが当然ですし、その為にはその駐在者のプライバシー上の配慮も必要となって来るでしょう。
ではその配慮というものは一体どうしたことがあるでしょうか?具体的には駐在者手当の設置や拡充、また海外駐在者用の旅行保険の手配などがありますが、その中でも特に重要なことと言うのはその駐在者に家族帯同を許可するかどうか?と言うことでしょう。
海外勤務に於いては、家族帯同が好ましいのか単身が良いのかと言うことは一概には言えない部分があります。色々な駐在経験者からの意見としては、「家族帯同のケース」と「単身赴任のケース」の何れについても、それぞれ自分の選択したオプションで「良かった」と肯定的に捉える方々が多いようです。
ではそれぞれのメリットとデメリットと言うのはどのようなものがあるのでしょうか?
メリット:
■単身赴任
・会社にとっては家族帯同のケースと比較して海外駐在用の支度金、引越代、また住居費代などが一般的に少なくて済む。
・海外駐在者にとっては(家族と離れて生活することになるので)寂しい反面、自由で気楽。
■家族帯同
・海外駐在者及び家族が外国暮らしを共に経験することにより、家族そのものの一体感、また絆というものを体感できる。
・子供(達)が異国文化や外国語を習得出来る機会となるだけでなく、日本人としてのアイデンティティーを発見・自覚する機会となる。
デメリット:
■単身赴任
・会社にとっては単身手当として国内払手当が必要となる。
・単身ゆえに箍(タガ)が外れがちになり、女性問題等を引き起こす可能性が家族帯同と比較すると高くなる。
・単身赴任者にとっては、自身の健康管理を能動的に行ってくれる家族が身近に居ない為、自己管理が心許ないと生活そのものが荒れる可能性がある。
■家族帯同
・子供(達)の為の教育費、家族手当といった追加コストがかかる可能性がある。また学力等に対する不安もある。
・赴任者にとっては家族の健康やカルチャーショックなどから発生するメンタルヘルス面での問題を抱え込む場合がある。
・赴任者が出張等で不在の状態が恒常化すると、家族が日本在住時以上に孤独を感じることになる。
こうした点から考えられることと言うのは、単身者は兎も角、家族帯同の場合のポイントはやはり子供の教育や生活環境の容易さであり、そうしたところであれば比較的簡単に現地生活に溶け込める可能性を秘めていると言うことです。
例えば一昔前のトレンドとして中国(例:深セン)勤務である駐在員などの多くは、週末のみ香港で家族と共に過ごし、ウィークデイは全て中国入りして仕事をこなすと言う事例が非常に多かったのも、"ワーク&ライフバランス"を見た上での会社側の配慮だったと言えなくもありません。
最も今では深センや広州と言った都市の発展が目覚ましい為、そのままダイレクトに中国入りして生活の拠点を作るパターンが増えているのは事実であり、ここは企業として総体的なコスト感を見越した上での判断が必要となるでしょう。
単身か...?それとも家族帯同か...?
果たして皆様の会社は一体どちらを選ぶのでしょうか?
そしてご自身だったらどちらを好みますか?