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人事はつらいよ。海外駐在員の評価方法
更新日:2017年10月17日
海外駐在員の人事考課というのは国内との環境が著しく違う可能性が高い為、実はかなりその基準設定に難儀したりするものです。実際のところ、国内の社員の人事考課であってもそのギャップというのは存在する訳で、これが海外となると尚更です。物理的かつ心理的な距離感が常に存在するのは確かであり人事担当者側としてはより神経を遣うポイントでもあるでしょう。
数ある人事考課の方法として良く使用されるものというのは、まず先に赴任などしてる社員=現場責任者に一任をするというものです。この責任者に(新たに行かせる)駐在員の評価を任せるというものがより現場でのパフォーマンスの確認を近くで出来ることになる訳ですから有効でしょう。
しかしながらその時に肝要なことというのは、まず第一に、任務に対してどの程度達成されているかを、あくまで客観的な観点で判断することであり、これが確りと成されていることが非常に重要です。
但し、こうしたケースでない場合、つまり海外駐在員そのものが一人しかいない場合は上記のケースは当て嵌りません。そうなるとその駐在員の評価と言うものは国内の受け側となり、海外部門業務の責任者などにその評価を依頼することしかありません。
しかしながら、実際のところは間接評価になるのは避けられず、結果として適正な評価というのは難しい部分がありますのでこうした場合はその部門責任者に考課対象者となる駐在員へのコメント欄などにフィードバック程度におさめるのが最も妥当なところです。
こうした際に陥る可能性がある状況と言うのは、部門責任者と被評価者の関係が"折り合いの悪い"ケースと"馴れ合い"のケースというパターンであり、こうした際は正しい評価を求めるのは適切ではないことを注意しなくてはなりません。
では他に効果的な方法の中にはどのようなものがあるでしょうか?
一例として挙げるならば、それは現地スタッフからの「フィードバック」があります。「現地スタッフ」という立場は、企業が進出する先の国の現地人である場合や、その国に根を下ろして生活をする在外邦人である場合があります。ここで企業側が注意しなくてはならないことと言うのは、こうした現地スタッフはまず日本からの駐在員のことを驚くほど良く観察していることです。
特にその駐在員が、日本では単なる「非管理職」であったりしたような場合、突然海外駐在と共に「管理者」へと"昇進"することになる訳ですから、この機にその者の態度が"豹変してしまう"と言うケースが頻繁に発生しているのは事実の一つです。
その結果、現地側のスタッフとの関係構築に失敗するなどしてあえなく帰任と言う事例もあり、企業側としてはその駐在員に掛けた時間やコストが損失という憂き目にあったりします。
このように、現地スタッフから"尊敬される人材"であるかどうかと言うポイントは非常に重要な視点であり、その面からも人事考課上では肝要な評価基準一つと言えるかも知れません。
企業の海外展開上での成功の分岐点というのは、まさに如何に優れた現地の人材を進出先国の現地法人内に定着させるかどうかであり、それは最終的に、駐在へとやらせる日本人駐在員の質に掛かっていると言っても過言ではないでしょう。
また日常から会社として心掛けなくてはならないことと言うのは、本社側の人事方の人間が定期的に現地訪問を行うことでの現状把握を行うことであり、これは駐在員への本社との繋がりを実感させ、同時に現地有能人材への配慮というものに繋がることになります。
海外進出企業の成功の為の要素というものは、実はこのような細かい項目の実行を、大局的・長期的な視点から継続的に行うことであると言えます。特に人事考課と言うのは人にラベル付けして行くプロセスであるため、尚更重要な項目であると言えるでしょう。