一般的に捉えられている香港のイメージと言うものは、ひとつには広東料理に代表されるような世界で一番美味しい中華料理を食べられるような場所であり、また、香港スターのよる躍動感あふれる映画の都であり、そして非常に競争力の高い金融業界及び金融システムを擁する先進的な都市である、と言うような事が挙げられます。
では、そんな中でも経済を支える金融、またそれ自体を側面から支える会計や税務の制度と言うのは一体どうなっているのでしょうか?
香港に住む地元の香港人や諸外国からこの地を訪れ、そして生活の拠点として行く外国人はこうした会計&税務のトピックに対して敏感に反応します。
以下は香港が制定している会計制度(HKFRS)、また、それらを政府(特別行政区政府)が施行する為の財源となる税(制度)となりますのでご一読ください。
【会計制度】
香港の会計制度は会社条例(Company Ordinance)と言われるもので規定されています。
基本的には他の諸外国の決める規定とそう変わるものではありませんが、以下に挙げる部分については留意して置く必要があります。
(1)会社は決算書、財務諸表を毎年作成し、毎事業年度の末日から7年間保存することを義務付けられている。
(2)会社は年に1度、決算を行い、外部の監査法人によって会計監査を受けることが義義務付けられている。尚、決算日は自由に決定することが出来る。また初回の決算は会社設立日以後、18ヶ月以内に行うことが義務付けられている。
(3)決算書自体には法的な作成期限は定められていない。通常は税務申告期限や年次総会などに間に合うスケジュールで対応する。
(4)記帳で採用する通貨は原則として主要取引通貨となる。従って米国ドルや日本円などの使用も可能。
(5)香港では企業会計と税務会計は完全に分離している。
(6)子会社を持つ香港会社は連結財務諸表の作成が原則となっているが、実務上の煩雑さを嫌がる会社の場合は、監査報告書上に監査人から限定意見(例:連結決算を行う為の十分な資料が与えられていない為、作成を行なっていない)を付けることで監査を完了することが可能である。
【会計基準】
香港における会計基準とは香港財務報告基準(HKFRS)である。しかしながら、2005年に国際会計基準(IFRS)にその内容をほぼ完全に同化させているのが実態。
【会計監査】
(1)香港にて設立登記された会社の全ては原則的に会計監査を毎年受けなくてはならない。
(2)会計監査の実施は会社条例(Company Ordinance)義務付けられている。従って監査を行わない企業は税務条例上、ペナルティーの対象となる。また税務申告書には添付として必ず監査報告書の原本を添えた上で提出を行わなければ受理されない。更に提出期限を遵守出来ない会社は、場合によっては裁判所への出廷を要求される事がある。
このように、会計をベースとするスタンスは香港では上記のようなロジックによって構築されており、これが香港登記会社の透明性→信頼性と繋がって行き、香港を国際的な活動の拠点と形作って行きました。
次回は香港税制の概要と各種税金についてご説明させて頂きます。