香港の会社法の改訂は2014年に行われました。
この刷新によってそれまでのツギハギだらけの内容が整理され、当たり前のことが当たり前に成されることが可能となった訳ですが、こうした変更を受けて、事業拡大の方向への舵を取る企業も居れば、その逆に減資や合併、或いは任意清算と言った方向への取り組みを行う企業も出て来たのは事実です。
香港では(株式)有限公司は会社の株式に相当する資本金を保有する必要があります。株主によって払い込まれる資本金と言うのは、本来の目的から見ると会社の債務返済や債権者保護の視点から維持されると言うものであり、それ故に裁判所の関与や手続が終了せずにはその払戻しと言うものが出来ないと言うのが通常の解釈です。
しかしながら、2014年の3月に施行された改訂版となる会社法ではこうした裁判所の関与をせずに減資や合併(同一グループ内の完全子会社同士による合併)を行う企業が増加の一途を辿っているのです。数的には2014年の段階では90件強であった数字が昨年の実績では235件まで伸長する結果となってしまいました。
では、裁判所を経ない減資と言うものはどのようなものなのでしょうか?
これは兎にも角にも企業の支払能力に基づくものであると言えます。
例えば損失の規模がそれなりにあり、今後改善見込みを立てること自体が困難であるような会社は、累計の損失と資本金を相殺するなりして経営状況をリセットすると言った形を取る場合があります。
裁判所を経由しない減資を行うということは、現実的にはそれに掛かる期間と費用の最小化を実現することは可能であり、そうした側面がある為に、前述した件数が飛躍的に高まったと言う部分の根本的な理由として捉えることが出来る訳です。
また、資本の再構築を行うに当たり、もし香港法人が不要との判断になった場合は株主による任意清算と言う方法も考えられます。この任意清算を行うことにより、より一層の租税効率や費用効果と言うものが期待出来、香港法人が備えるに至った余剰の資産を株主が後日受け取ると言ったことも可能となるのです。
勿論、必ずしも清算手続が最適な手段であるかどうかは分からず、仮に清算が好ましいものでないとの判断があった場合は、先ず払込資本金の減資手続を行い、その後登記抹消申請を行うと言うパターンもあります。
またこうした上記の方法以外にも、例えばその香港法人を"休眠させる"と言う手段もあります。当然、その目的は様々ある訳ですが、一般的に言えることは「休眠」と言う選択肢そのものが持つ意味と言うのは、将来のある段階で再びその法人を稼働させるかも知れないと言う可能性を含むものであり、その為に香港法人の社名であったり或いは税務上の損失の保持を目的とするものも含まれているのです。
しかしながら、注意をしなくてはならない点と言うのは、法人をその取り扱いにした場合、法人そのものはあくまで休んでいるだけのものであり、従って法人運営に必要な諸費用の発生は加味して置かなくてはなりません。例えばそれは監査であったり、税務申告であったりする訳です。
では今度は裁判所を経ない合併と言うのはどうでしょうか?
合併の種類というのは香港でも日本同様、垂直型であったり水平型であったりと言うものです。合併が承認されて実施する形となると被合併会社はそれぞれ合併会社とは別の法人として消滅し、後を継ぐこととなる合併会社は被合併会社の全ての権利や所有物、また負債などの義務を負うことになります。
仮にこうした合併が裁判所を経ないような場合、生成城の優遇措置を受けると言う目的でばければ一般的には被合併会社が存続していると言う前提での取り扱いとほぼ同等となります。