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ウェルスプランニングの際の信託設定についての考察1
更新日:2017年12月11日
日本も法人税などを筆頭にして様々な税に関する調整を毎年行なっていますが、本当に富裕層と自他共に認める層の方々はとうの昔に日本と言う国での生活に見切りを付けています。
事実として日本の富裕層による海外渡航頻度は増加傾向であり、それと共に彼等が保有している資産も多様化の一途を辿っています。事実としてこうした富裕層が自身の「拠点」として定める地域や国と言うのは昨今ではシンガポールであったり、また香港であるなど日本以外のアジアンオフショア地域・国を選択されているのが一般的です。
日本の富裕層の方々は、国税庁の厳しい対応などの影響ゆえ決して目立つような派手な動きは行わないと言うのが通説ですが、しかしながら、水面下ではこうした方々によるオフショア銀行の開設や不動産購入などは粛々と進んでいるようです。
では、こうした富裕層の方々のウェルスプロテクションとして採用される手法と言うのは一体何でしょうか?家族の将来的な資産保護・維持を念頭とする際に注目を浴びる手段の一つとして良く使用される方法とはオフショアの信託(或いは財団法人)のストラクチャーです。
オフショア信託には様々なメリットがあります。
◆資産防衛
オフショア信託を採用すると先ず第一に挙げられるメリットと言うのは自身の資産の防衛手段となることです。富裕層や資産家を取り巻く環境と言うものは決して生易しいものではありません。ざっと挙げるだけでも以下のようなリスクなどから資産保護の手段を講じなくてはならないのですから大変な作業なのです。
1.債権者からの資産保護
例えば富裕層が所有するビジネスのひとつが仮に破産などをしてしまったような場合、当然のことながら、職業上の責を取らなくてはならなかったり、取締役などは糾弾の対象となるのは避けられません。
2.離婚などによる所有財産の割り振り
例えば離婚と言うような憂き目にあう夫婦間などにおいて一番の争点となるのは所有財産に関する"取り分"を巡るものです。
3.遺言で定められる主張分からの資産保護
資産の振り分けの際、「遺留分」と言われる、言わば法律に則った相続人に資産を渡したくないケースと言う事由が発生した場合(例:知人、友人、他の家族など)に特に重要性が出てくる部分です。
他にもこのオフショア信託を有効活用することで合法的な租税対策を立てることも可能になって来るだけでなく、受託者(Trustee/トラスティー)に管理権限を与えることで資産家自身(委託者)がその場その場の状況に振り回されることなく、極めて計画的に資産を次世代の家族に引き渡して行くことや、委託者が事前に想定し指示して置くことで家族の中でも"弱者"と考えられてしまう層(例:幼児、年配者など)への資産保護のメカニズムまでも有する形として手配することも出来るので、富裕層の中でこの手法を重宝するのも分かるような気もします。
次回はこうしたオフショア信託を使用している利用者の傾向や対国内相続税(贈与税)上における日本非居住者の得るメリットなどを中心に案内して参ります。