今年の1月16日、2017年の訪日外国人に関する速報が日本の観光庁から発表されました。観光庁からの統計によれば2017年の来日外国人は、昨年よりも460万人余り増加し、約2,869万人になったとのことです。事実としてこの訪日客数は増加の一途を辿っています。信じ難い話かも知れませんが、5年前の訪日客数を"ベース"と考えますと2017年のその数は実に4倍近くにまで膨れ上がる結果となっています。
以下、実数をご紹介するとこのようなデータとなります。
<訪日外国人の動向>
(1) 暦年比較
日本の外国人来訪者数の実質的な増加と言うのは、2012年以降のことです。それまでの時点では800万人前後で推移してきましたが、2011年の東日本大震災の影響で一旦は200万人ほど減少、そしてこの年をボトムとして翌2012年から急増線を描く形となりました。2017年の来日外国人の国別構成では、韓国、中国、台湾、香港からの来日者数の合計が2,129万人と全体の74.2%を占めています。
2016年からの増加率を見ますとトップはスペインの40.5%増、次いで韓国(40.3%増)、ベトナム(32.1%増)、インドネシア(30.0%増)の順となっています。2012年との比較では、2017年の来日外国人数は3.4倍となり、中国、韓国、香港、台湾の増加数が極めて大きいのですが、欧米、東南アジア、豪州ニュージーランドからの訪日客も増加しています。
(2) 観光地の動向
日本を訪れる外国人の人気の観光スポットは、やはり東京、京都、大阪、奈良といった大都市や従来の観光地が主体です。しかしながら、日本の観光地を紹介するメディアはテレビ番組のほか、ジャパン紹介サイト、本の発刊、或いはユーチューバーなどと多彩になり、最近の傾向としては従来の観光地以外の場所を紹介するケースも増加して来ているようです。
例えば、最近の報道では青森県の来日外国人数が増加しているとのことで同県には、ねぶた(又はねぷた)祭りや十和田湖及び奥入瀬渓流など様々な観光資源がある為、こうした所に目をつけた外国人訪日客が従来では体験出来ないような日本の旅を満喫しているようです(中には多少眉唾ではありますが、「キリストの墓」と言うような所もあるとのことです)。
成田、羽田、関西の各空港のキャパや使用料金の問題等から地方空港に直接乗り入れする格安航空会社(LCC)増加がこの地へ訪問する外国人の数を"後押ししている"理由のひとつとも考える向きもあり、それゆえ今後もこのような動きは見込まれると言う観光エキスパートもいる程です。
東京や京都、大阪、奈良といったこれまでの観光地の来日外国人数が減少することはないと思いますが、こうした新しい傾向を見たりすると日本の田舎を目指す観光客増加は継続するかも知れません。もっとも、こうした人気を維持するためにそうした訪日客を受け入れる地元サイドも工夫や外国語を操れる人材の調達等々、様々な準備も必要となるでしょう。
(3) 今後の展開
日本政府は、東京オリンピック開催の都市である2020年に来日外国人4000万人を見込んでいます。ここ数年の傾向(年400万人増)が続けば、達成可能と考えられます。
しかし、あと1200万人増加した場合、一人当たりの滞在日数が7日間とすると年間の宿泊数が7,200万泊(1200万人×6泊)増加し、一日平均では約20万泊増加することになります。
このため、ホテルや旅館などの一層の増加が必要となりますし、観光地の電車やバスなどの増便も必要になると考えられます。経済効果をしっかりと享受するにはやはり先行投資も不可欠。美しい日本を演出するこうした観光業界の奮発に期待しましょう。