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仮想通貨から得る利益に於ける税務判断とは?
更新日:2018年02月19日
仮想通貨の代表格であるビットコインを筆頭として、昨年春以降、この相場が急上昇を行ったことをキッカケとして国税庁は昨年12月1日に(仮想通貨による)この所得については「雑所得」とするとの判断を公表しました。
またその後、今年元旦の新聞報道に置いてはビットコインの取引状況について国税庁が収集分析を行なっており、個人の申告上(確定申告)、その内容と"照合を行う"との流れとなっています。
以下は幾つかの論点に置いてどのような形で国税庁がこの「仮想通貨」に対する見方とアクションを行なっているのかをご案内します。
●仮想通貨に係る税務問題●
(1) 所得区分について
昨年12月1日に国税庁は、ビットコイン取引に係る所得は原則として"雑所得"(事業規模で行っている場合は事業所得)に該当するとの質疑応答を公表しました。これは、位置付けとしては競馬の勝ち金等と一緒の取扱いとなります。
"雑所得"と言うものは、必要経費や損益通算でかなり制限を受ける項目です。例えば必要経費に関しては、基本的にその所得を得るために直接要した費用だけとなりますし、損失となった場合でも他の所得との通算はできないこととされています。
また、損失の繰越控除もありません。国税庁のQ&Aでは、ビットコイン相場による所得金額の計算について、かなり細かなところまで説明していますので、気になる方は一読されるか、専門家に確認することが必要かもしれません。
(2) ビットコイン取引に係る情報の収集と分析
周知の通り、昨年春以降、ビットコイン相場が急騰したことは事実です。マスコミの報道でも「億り人」などの造語が出来るなどビットコイン長者の話やそれに纏わる話などが頻繁に出て来てはいました。
こうした事を取ったとしても、国税庁がこの「仮想通貨」に関心を寄せていたと言う事は間違いないと言えるでしょう。元旦の新聞報道は、国税庁がビットコイン取引について網をかけて全部を把握しているような報道ぶりですが、取引所を経由した取引の場合、その決済のための資金移動は税務当局としても把握可能ですので、国税庁はビットコイン取引の相当な部分について既に情報を収集して分析していることが想定されます。
ビットコイン相場の最近の値動きと言うものは、昨年11月末に100万円を超えた後に20日ほどで200万円を超す程の急騰ぶりではありましたが、その後、年明け1月16日以降、110万円台まで急落しています。
こうしたこともあり、暮れの急騰時に売却して多額の所得を得た人の中には儲けに係る税金が約1000万円の水準、そして実際に保有しているビットコインの価額が(値下がり等の影響で)ちょうど同額(1000万円)程度までしか到達ならず、ここで税金を払ってしまうと"(何も)残らない"といったこともあるようです。
日本の所得税は暦年課税である為12月でいったん締めることになりますので、こうした年明けの損は見てくれません。また、ビットコイン取引に係る所得が"雑所得"とされた為、ビットコイン取引に係る損失は他の所得と損益通算できませんし、前年や翌年の所得とも相殺できないと言うこととなります(法人の場合は少し異なります)。
ではビットコイン取引と言うものは個人でやるべきなのでしょうか、それとも法人でやるべきなのでしょうか?
個人がビットコイン取引を行った場合の税務上の取扱いと言うのは、シンプルに利益が出たら課税(雑所得)となるだけです。逆に損を出してしまうようなことになると"面倒見ないよ"という感じになってしまうので、注意をして置く必要はあるでしょう。
そもそもビットコイン相場自体のリスクと言うのは税務リスクのものよりも同等或いはそれ以上大きいことと認識されており、現実問題としてこのような投資を法人が行うことはほとんど有り得ません。
その為法人税の場合には(所得の種類は関係なく)全体の利益に対して一旦法人税を課税するのが一般的なようです。他方、損失が生じたような場合であったとしてもその後10年間の繰り越しが出来る為、個人で投資する場合よりもリスクは少ないことにはなります。