先人に学ぶ...。
物事をスタートする際、こうしたフレーズが頭の中に浮かぶのが人の常です。新しいことにチャレンジをすると言うことは、ひとつひとつを如何に乗り越えて行くか?に尽きる訳ですが、効率的にこうした負荷を可能な限り軽減する方法と言うのはやはり(物事に実際に着手する前の段階で)先人の経験や知恵に学んで備えて置くことでしょう。
ビジネスにしてもそれは同様で、『海外進出』の言ったような事業活動については尚更しっかりとした準備が必要です。何故ならばこの事業は一筋縄では行きそうも無いからです。
進出を行う先には自分たちとは全く違った風習が存在し、またそれらを(自分たちとは違う文化圏で育った)人間達によって運営がなされています。こうした背景がある為、企業として事前に出来ることと言うのは何らかのリサーチを事前に実施して置かなくてはなりません。
従って、海外進出の実態をデータ等で把握して置くのは大変重要なプロセスであり、これら
を通して先ずは傾向と対策を立てて臨むことが肝要です。
往々にして日本の企業が海外進出を行う目的と言うのは(その昔は)生産拠点の確立であったり、昨今では新しい市場の開拓です。そしてその"進出先"としてこの20年もの間、特に顕著であったところと言うのは中国でありました。
現在ではそのトレンドは薄まりつつありメコン地域を筆頭とした東南アジア諸国へとシフトが行われて来たのは周知の通りです。また更にこの東南アジアを飛び越え「インド」と言った"第2の中国"たるマーケットにスポットライトが徐々に当たるようにもなって来ているのが趨勢と言っても間違いではないでしょう。
ではこうした地域・国に先に進出した多くの日系企業は今一体どのような渦中にあるのでしょうか?
海外進出に当たって現地法人が直面する事業環境面の課題と言うものは多くの共通性が見受けられます
先ず第一に、それは「為替の変動」です。多くの企業が、この乱高下する為替リスクに翻弄されているのは事実であり、国内自動車最大手のトヨタ自動車などは為替リスクが与える収益へのインパクトは天文学的な数字になってしまったりします。
次に挙げられる点は「人件費の高騰」です。特に中国は所得がこの10年で5倍近くに跳ね上がってしまっており、企業はその煽りをモロに喰らった為、他のアジア諸国へ拠点のシフトが近年から行われて来ました。
ではそれ以外ではどう言ったことがあるでしょうか?
項目として上位を占めるものは以下の通りとなっています。
1.為替の変動
2.人件費の上昇
3.現地人材の確保、育成、労務管理
4.法制度や規制の複雑さ、不明瞭さ
5.経済情勢の変化
6.政情不安、自然災害
7.現地に於ける物流及び産業インフラの未整備
8.知的財産の侵害、模倣品の増加
9.値段戦争
10.その他
その他の部分で挙げられる項目は現地従業員の不正が挙げられており、こうした部分から派生するストライキや労働争議等も企業を悩ます要因として認識されています。
以上、先に進出した企業が一様に上げる進出の勢いを削ぐ10項となります。逆に言えばこれらをしっかりと見据えた上での進出計画立案であれば、成功の"角度を上げる"海外進出となるのは言うまでもありません。