歴史的にプライベートバンクの役割と言うのは、資産家の資産を堅実にプロテクトすることで次世代に対してその価値を維持したまま引き継がせて行くことが挙げられます。
しかしながら、資産家が求めている事というのはこうした資産の保全や継承だけであるとは限りません。例えばそれは資産家自身が運営している事業の承継、またそれに纏わる税金や法務関係、更には後継者の選定・育成や資産家自身の健康維持等々、非常に多岐に渡ると言うのが実情です。
故に、こうした需要に対して盤石の対応を行える存在が資産家の間で切望され、また形成されたのがアメリカ合衆国でした。アメリカの大富豪であるロックフェラー一族やヘンリー・フィリップス等が上記のような多岐に渡る資産家一族自身の"個別事情"に対応するため専門チームを作って財務、法務、税務と言った各種のスペシャリストを組成し包括的なサービスをさせ始めたのが、この『ファミリーオフィス』の原形なのです。
ですが、我が国日本に置いては現時点でもこの『ファミリーオフィス』という存在への理解が希薄です。
一般的に言って、日本の資産家は自身の会社等の自社株や所有不動産と言った極めて流動性の低い資産を多く保有しており、また、それらに対する対抗策と言うのも依然として非常に稚拙であるとすら言えます。
何故ならその多くは"重税国家"である日本国内での節税策を保険&不動産の活用によってお茶を濁している程度なのですから...。
勿論、最近でこそ一部で国外の金融商品を購入するなどして資産の分散化に着手し始めましたが、生来の国際感覚の欠如と語学音痴と言った面が災いし、資産運用や税務対策面では効果的な手段は打てているとは言い難い状況です。
今や世界経済と言うのは密接に相互作用する中でますます連動性を強めているのですから日本の資産家も自分の資産防衛の為には(自身にとって)専門的に対応してくれるファミリーオフィスのような存在をこれから真剣に検討・確保して行く必要があるのではないでしょうか。
では、最後に今回の纏めとして優れたファミリーオフィスと認識される条件をご紹介させて頂きます。
1.各方面のプロフェッショナルとグローバルなネットワークを保持している
2.最先端の運用手法と金融商品の知識がある
3.特定の組織に縛られない独立した機関である
4.海外での実務経験が豊富なアドバイザーがいる
5.専門的な資格(MBA、CFP、CFAなど)を保持したアドバイザーがいる
6.ファミリーの永続的な発展を目標としている