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海外企業との決済の際に先ず押さえて置きたい判断ポイント

更新日:2018年04月09日

海外と取引をしていると、製品の輸入代金や特許に関わるライセンス料(所謂、ロイヤルティー)の支払いなど、海外に対しての支払いを行う局面と言うのは避けられません。この際、海外の取引先に対して何らかの支払いを行う場合、もっとも重要なのが果たして「源泉徴収が必要なのかどうか?」と言う論点です。

そもそも「源泉徴収」と言うのは、海外の企業に対する支払いに当たってその一部を日本企業が留保し、それを税務署に納付することを言います。つまり、今の源泉税率を仮に20%とした場合、海外の企業から100の請求書が来た際、日本企業はその全額を支払うのではなく、20を源泉徴収して80だけを支払うことを行います(勿論、この20は後に税務署に納付する必要がある対象金額となるのは言うまでもありません)。


ではここでの重要なポイントと言うのは一体何でしょうか?
それは、この20の源泉所得税を本当は誰が負担しているのか?と言うことです。


その答えは納税を実際に行う日本企業なのではなく、「海外企業」です。

日本企業だけの視点で見ますとこの20の税金を税務署に実際に納付していることになるので何となく税負担があるように見えてしまいがちですが、実際は(100の請求書に対して)合計で100だけしか支払いを行なっていない事と、その内の20が(海外企業にではなく)税務署になっていると言うことに着目する必要があります。

実際、海外企業側から見れば100の請求書に対して日本側から80の入金しかないと言うことになるので、残りの20が(日本企業を経由して日本の)税務署に納付されていることから考えても税負担が国内にあることが分かります。


では、海外企業にとってこの源泉徴収が必要なのかどうかをどこで判断するのでしょうか?

具体的な判定に至るまでの手順は以下の観点から判定して行くのが一般的です。

<判定までの各ステップ>
1)支払い内容の確認
支払い内容と言うのは大きく分けて1:商品の輸入代金、2:使用料、3:配当、4:借入金の利子等々があります。

2)国内の税法をもとに①を検証し、源泉徴収が必要なのかどうかの検討
1)の分類をベースに日本の国内税法に照らし合わせてこの源泉徴収の要否を判断する訳ですが、特に注視される点はPE(恒久的施設)に関わる国内所得が焦点になります。

3)関係諸国間で締結される租税条約を通して①と②を検証
そして最後は関係諸国間で締結されている租税条約をもととした検討を行います。特に源泉徴収の関係で注意を要するポイントはA)所得の源泉地に係る規定及びB)限度税率(源泉税の減免)に係る規定です。

これらのプロセスを経て、その要否が判断される形となる訳ですが、日本の税務署の立場からするとこの徴税制度は理想的であると言えると言います。何故ならば、納付を行うのが日本企業側になるだけであり、税金徴収の為に海外相手にやり取りをすることを回避出来るからです。こうした背景も、実はかなり重要な側面であると理解して置いた方が良いでしょう。

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