日本の会計制度と香港の会計制度上での一番の違いと言うのは香港で設立した法人は基本的に会計監査を受けなくてはならないと言う点であることは今迄も様々な記事で案内して来ました。今回は香港の会計制度全体を俯瞰すると言うことで各項目について説明して行きます。
・会計基準
会計基準と言うのは会計業界では非常に重要な立ち位置です。特に会社のオペレーションが諸外国にまで渡るような事業を持つ会社にとっては、こうした基準がその国々で違って来てしまうと、自国の基準に赴きを置く本社のマネジメント陣にとっては海外事業の"実態"が正確に反映されないと言う点が発生して来てしまうからです。
香港では香港会計士協会が公表する3つの基準のいずれかに従うことが必要とされています。
1)香港財務報告基準
香港財務報告基準は2005年から国際財務報告基準(IFRS)に全てコンバージョンした為、基本的にはIFRSと同一の基準となっています。
2)中小企業財務報告基準
こちらは全ての会社に上記IFRSを適用することは事務負担が大きくなる事を考慮して作られた簡易会計基準です。対象となる会社は非公開企業である小規模な会社となります。
3)私的会社香港財務報告基準
この基準は中小企業財務報告基準に準拠する形のものです。これはIFRSで定義する「中小企業」と中小企業財務報告書で定義する「中小企業」が完全に一致しない部分があることを受けてもう受けれらた新基準で公的な説明責任がない会社がこちらを利用することが可能です。
尚、1)の基準はIFRSと同一であるので日本との差異はIFRSのものと同一であると言える事を押さえて置いて下さい。
・財務諸表
財務諸表とは言わずと知れた貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、そしてキャッシュフロー計算書(CF)の3つと持分変動計算書を含んだものを指しますが、香港でも基本的にはこれらを用意しなくてはなりません。しかしながら、一定の要件を満たす小規模会社は作成を免除されています。
・決算書の作成時期
決算書自体には法的な作成期限は設けられておりません。従って香港の税務局(Inland Revenue Department=IRD)が設定している税務申告期限(年3回の期限があり、それらは各々の企業の年度末決算の日をベースとして決まります)や年次株主総会開催日に間に合うスケジュールで対応する事になります。
・決算日
設立して最初の決算を行う期限は法人設立日以降18ヶ月以内と規定されています。それ以後は通常通り、1年に一度のペースで決算を行う必要があります。尚、決算日そのものは中国等とは異なり、香港法人自身が自由に設定する事が可能です。またこれは(日本と違い)定款にその決算日を記載する義務はありません。