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香港の会計・税務周りの規則や基準2
更新日:2018年06月20日
第2回となる香港の会計・税務周りの規則や基準ですが今回は企業会計と税務会計、記帳通貨、監査基準、会計監査報告書、そして会計監査人や休眠時の企業の監査についてご案内させて頂きます。
・企業会計と税務会計
香港における企業会計は税務会計と完全に分けて考える必要があります。事例はいくつかあります。例えば減価償却と取って見ても日本ではその計算法を税法に合わせる形で行う事がよくありますが、香港では会計処理はあくまで会計基準に則って行われる為、税務条例の規定には影響が出ません。
・記帳通貨
記帳を行う際に気をつけなくてはならない事は使用通貨です。香港のルールでは原則として主要取引通貨(機能通貨)を使用する事で対応をするのが一般的です。この点、日本では必ず日本円建てで記帳することが求められますが、香港では必ず現地通貨である香港ドルを使用する等の規則は有りません。
従って売上や支払の多くがUSドル建てで行われるような貿易商社などは原則的にUSドルで記帳を行う事になります。但し、税務申告の際はこのUSドルを香港ドルに変更する必要は出て参ります。
・監査基準
会計監査人は香港公認会計士協会によって定めれらた監査基準に従って監査を行います。監査対象となる企業は監査人が要求する使用の提供や実地検査(棚卸し等)の際の立会い、金融機関に対して要求する残高確認書への署名など多く面で協力を行うことが必要となります。
・会計監査報告書
監査人は監査を実施した結果として監査報告書を発行します。監査報告書の記載事項等の雛形は香港公認会計士協会において公表されています。また通常、監査を請け負う会計士事務所は監査報告書の受け渡しを監査費用の支払いを持って交換すると言うやり方を行うのが一般的です。
・会計監査人
会計監査は香港公認会計士協会に登録している香港公認会計士もしくは監査法人が対応する資格を有していますので、その資格を持たない者が対応することは出来ません。当然の事ながら、監査の客観性を維持する為には監査を受ける会社から完全に独立した外部の監査人であることが求められます。
・休眠会社の監査
休眠会社の会社に対する監査の位置付けと言うのはどの様なものになるのかと言うと、実務的には税務申告期限の際に監査済決算書の提出が免除されている事もある為、実質的には監査を受ける必要が無いと考えられています。
しかしながら、事業を将来再開するような事になった場合は休眠開始時から事業再開時までの監査が必要となるので、監査の免除と言う解釈よりもむしろ監査の猶予期間と捉えた方が良いでしょう。