香港で法人設立業務を引き受ける業者の多くは地場の会計士事務所や弁護士事務所、或いは弊社のようなビジネスコンサルを生業とするようなコンサルティング会社と言ったものがあります。
その中において具体的に設立を直接請負う部門と言うのは「会社秘書役業務部門」と言うものであり、ここでは上記の法人設立のみならず、年間を通して発生するであろう年次総会の議事録(配当額の決定や役員変更等の決議書)やAnnual Return(=年次報告書)と言った、香港会社登記局(Company Registry)が要求する各種書類等の作成も含まれております。
また、こうしたサービスを提供する業者の中にはお客様のビジネススタートアップの便宜をより一層図る為、もう一歩突っ込んだサービスを行なっているところもあります。
今回は香港でのこうした「サービスオフィス」や「貸し会議室」のサービス事情と言うものがどう言うものであるのかをご案内したいと思います。
先ず「サービスオフィス」ですが、これは特段珍しいものではなく、日本にいらっしゃる方々にとっても容易にイメージ出来る内容のものです。具体的には"空間"を提供するオーナーと賃貸契約を結ぶことで執務を行える場所を借り受け、事務機器や通信機器などが整っている環境を創り出すこととなります。
通常、香港でスタートアップを目指す方々にとって大きなボトルネックとなるもののひとつはオフィスの設置となる訳ですが、ビジネスセンター機能を兼ねた秘書業務サービスを提供しているような業者に申し込むと、「賃料」自体を効率的に抑制する手段となり、また体裁的にも"見栄えが良い"体制を構築出来ることに繋がります。
何故ならこうした所と言うのはサービス項目の中には空間の確保だけでなく、電話応対や通信物の管理と言った日常業務をおこなうスタッフのサービスをオプションで付けることが可能となるからです。
ではこの「サービスオフィス」に付帯するサービスの内容と言うのは通常、
1)自分が活動するオフィススペースの提供、
2)電話、ファックス、インターネット、オフィス備品の提供や定額での公共料金
3)(別途オプションと言うケースで)電話応対、ミーティングルーム、秘書サービスの提供
などが含まれています。勿論、様々な会社が"同居する"と言う前提条件がありますので(3)に関わる部分についてはファシリティや人を共有すると言う感覚を持って置く必要がありますが、コストコントロールの視点から見ると事前に全てを定額で俯瞰できるので便利です。
またこれに加えて香港では一般的なスペースの契約形態である1〜2年間の長期賃貸契約を結ぶ必要もなく、「サービスオフィス」は月単位の契約なのでいつでも好きな時に引き払うことも可能なのでビジネスの状況に合わせた形での対応が出来る点も見逃せないポイントと言えるでしょう。
そしてこれらに更に加える点があるとするならば、こうした「サービスオフィス」の立地が挙げられます。何故なら「サービスオフィス」の所在地は往々にして都市中心部に在する商業ビルの中にある為ここでビジネスを行なうと言うことは対外的に自身の会社の信頼性のアピールにつながる面もあり、ビジネスの側面を助ける効果もあるからです。
以上、今回は香港での「サービスオフィス」の仕組みをご案内させて頂きました。ご進出に関わる初期支出を抑える方法のひとつとして検討されて行くのも賢明な選択肢と言えるのではないでしょうか。