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香港法人・オフショア法人設立お役立ち情報

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香港:法律の"性質"で影響を受けるビジネス上の様々な点

更新日:2018年07月09日

香港は1997年7月1日、それまでの英国統治から離れ、当時の主席であった江沢民中国に返還がなされました。

以後、「一国二制度」と銘打たれ20年以上、現在もその形で運営されて来ている訳ですが、その根幹に流れているものと言うのは(今回トピックとして取り上げた)法律です。香港は英国の植民地であったと言うこともあり、その法体系は英国同様コモンローで構築されています。


コモンローとは判例をベースにして過去に於ける類似ケースを参照し、一定の拘束力を呈した形で事案解決を図ると言うものであり、日本や欧州の敷くシビルロー(制定法主義)とは一線を画しています。

何故なら同一のケースを裁く際に、一方(コモンロー)は上述のように過去の類似ケースを基礎として判決を導き出すのに対してもう一方(シビルロー)はその事実に適合する条文を探して判決を行なう為、場合によってはこの2つの判決スタンスの違いによって結果そのものが真逆となる可能性すらある訳です。


実務的な視点としてこれを捉えて見た場合、香港の代表的な機能のひとであるクロスボーダー案件などでの紛争発生となった場合、香港を中心として各商流などで関わる他国、それも日本や他のシビルロー国家等とのものになると中々一筋縄では行かなくなる可能性がありますので(駐在員や担当者は)細心の注意を持って置く必要があります。

何せ解釈次第で被る損失が桁違いになることも発生する結果もあるので尚更です。よって、こうした事態に陥らないようにするには、やはり事前の段階で(少なくとも)主要条件を記載した契約書等を取り交わして置くことが望ましいと言うのは言うまでもありません。


◾️注意するべきコンプライアンスの問題や知的財産権などの保護
「コンプライアンス」と言う観点でもこれからの香港企業は強化をして置く必要はあるでしょう。何故なら近年、香港においても各方面での法律が厳格化・細分化して来ているのは明白であり、それこそ事業の立ち上げから継続の過程、例えば税金、雇用、コーポレートガバナンス、対第三者への責任リスク、また汚職や不正対策と言った点を踏まえた内部規定の確立が急務です。

また、ビジネス慣習のひとつとして契約書を交わして置かない(=口約束)形でPO発行し、そのままビジネスを開始してしまうようなケースも香港では多く散見されるものですが、こうしたことも近年では早急に見直しがなされて来ている領域であることを頭の中に留めて置く必要があるでしょう。

更にビジネスの流れでもうひとつ付け加えると、事業進出などを行った際に自分が持つ商標や特許などの保護も商標登録などを抜かりなく行って置くべきです。

特に香港を経由するなどして中国でのビジネスが主体となるような場合、"まがいものコピー"を専売特許とするような業者等が大陸側には相当数存在していたりする可能性もあり、日本本社や現地法人の決定権者が油断したり、或いは"香港で商標を押さえたから中国でも大丈夫"(理由例:香港現地法人100%出資をして中国独資会社を設立したから"同一であると言う誤認識)と言うある種の「誤解」で中国での商標登録のアクションが遅れ、その結果として、商標使用が(中国では)不可となってしまう等々...、笑い事では済まされない事態や問題点が後々噴出することもあり得るのです。


以上はあくまでいくつかの例である訳ですが、今一度見直しをするべき点とは、香港は(中国を筆頭として)日本や他の国々にとって異なる法律解釈で成り立っている地域である為、「自由港」であると言う表面的な印象を場合によってはかなぐり捨てなくてはならないようなケースも存在すると言うことです。

それこそが、冒頭に述べたコモンローとシビルローの根本的な違いの部分でもあるのです。

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