英国のシンクタンクのひとつであるZ/Yenグループの統計結果に寄ると、自社が標榜する国際金融都市としての競争力を示す「国際金融センター指数(GFCI)」ランキングにおいて、香港が3位に"再浮上"し昨年(2017年)3位であったシンガポールをからそのポジションを"奪還"したそうです。
この座標軸上でのトップは他社の国際金融センター比較でも常にトップランナーたる存在感を示すロンドンとニューヨークがポジションを占める形となりました(尚、東京は5位!)。
また、2018年度の発表結果で顕著な伸びを示したのは今や香港と並ぶと言っても過言ではない中国最大の都市、上海が6位に付けることになりその順位を7つも上げる形となったようです。
この調査は上述の英国のZ/Yen社と中国のシンクタンク・中国総合開発研究院(広東省深セン市)が共同で実施した結果とのことで、その比較軸の項目と言うのは各々の都市が「ビジネス環境」、「人的資源」、「インフラ」等を含む5つの評価項目を数値化して集計したものです。
ここ数年の順位の変遷を見て行くと香港は2016年3月にシンガポールに一旦抜かれて4位に転落。以後、前回(17年3月)まで変わらず4位に留まる形となっていましたが、今回再び抜き返して雪辱を果たすものとなりました。
しかしながら、得点数と言う尺度で見て行くと11点下がる744点であり、これはシンガポールとはわずか2点差と言うもの。まさに"薄氷の勝利"と言えるものだったのです。
但し2位のニューヨークとの差は過去5年で最少の数値であることを鑑みると(場合によっては)数年内に香港とシンガポールがニューヨークを揃って凌駕する可能性も出て来ています。
具体的な項目別ランキングで見て行くと、香港は「ビジネス環境」「人的資源」「インフラ」「金融セクターの発展」がいずれも3位で、ロンドンとニューヨークが1、2位。シンガポールと上海は4、5位となりました。
また、香港は「都市イメージ」ではニューヨークを凌いでロンドンに次ぐ2位にランキング。また業種別では、香港は「銀行」「投資管理」「専門サービス」で3位。「保険」で2位。「政府・監督機関」は4位と言う形となっています。
今回のレポートの中にはある銀行関係者のコメントとして「香港は中国政府の規制強化が懸念としてある」としながらも、独自の強みや流動性などを依然として誇っている為、その機能が簡単に淘汰(とうた)されることはないとの見方が決め手となった軸と言えるでしょう。
尚、中国本土の都市の中では香港や上海の他、北京が10位(前回16位)、広東省の深センが20位で(同22位)と言う好結果をマーク。広東省の広州は32位(同37位)、山東省の青島は47位(同38位)と言うこととなっています。
最後に我々日本人として嬉しいことがあるとすれば、日本の都市の代表として東京が前回のランキングと同様のポジションを維持出来ていることです。得点上でもすぐ上のシンガポールや香港は"射程圏内"であると言え今後の躍進が楽しみであると言えるでしょう。
◇国際金融センターランキング◇
1(1) ロンドン 780(▲2)
2(2) ニューヨーク 756(▲24)
3(4) 香港 744(▲11)
4(3) シンガポール 742(▲18)
5(5) 東京 725(▲15)
6(13) 上海 711(▲4)
10(16) 北京 703(▲7)
20(22) 深セン 689(▲12)
21(15) 大阪 688(▲24)
27(26) 台北 677(▲12)
32(37) 広州 668( 18)
※英国シンクタンクZ/Yen調べ。 順位のカッコ内は2017年3月の前回調査の順位であり得点は1000点満点、カッコ内は前回とのポイント差となります。