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節税=悪?"緩和"と言う言葉の入り込む余地無しの生保商品をめぐる課税模様-2

更新日:2019年03月08日

保険、特に生命保険と言う商品は古くから法人分野に於いて特に"節税"の目的で利用されて来た歴史があります。

例えばそれは従業員に対する団体生命保険であったり、また医療を中心とした日常的な保障中心の保険であったり、或いは社長や役員と言った特定層(マネジメント層)に対する商品(キーマン保険等と称される逓増定期型の保険等)等が挙げられますが、それらは同時に税法上では損金扱いと言う、言わば"節税色"を色濃く纏った視点であるものでもあることを忘れてはならないでしょう。

今回、国税庁が発表した節税型保険に対する取扱いと言うものは、そうしたこれまでの数々の保険商品に対して過度な節税策を抑制する牽制行為であり、それに即座に反応した業界の今後の成り行きも注目されます。では国税側の視点=問題意識と言うものはどう言ったものなのでしょうか。


・国税当局の問題意識
節税型保険と言うのは過去に於いてもかなり前の段階から販売されていましたが、一般的に何重にも加入をしてしまっている保険契約などの影響で保険契約残高が多額にとなったことなどから国税当局では一部の商品、特に多額の中途解約金が生じるような設計となっている生命保険契約の支払保険料についての損金算入を制限することとしました。

換言するとこれは国税庁による"問題視商品"と言う解釈に繋がる訳ですが、ではこの節税型保険とは一体どのような仕組みになっているのでしょうか?


これは、先ず経営者等が法人と言う「箱」を利用して高額な保険料を支払い、その保険料を全額経費に参入させる形とします(何故ならこの保険には満期保険金や逓増定期型の保険の機能を持たせていない商品設計をしているものであるからです)。当然、経費参入が出来ると言うことは会社の利益圧縮に繋がり(損金扱い)、法人としては合法的な節税を実現出来ることになります。

そしてその後はこの保険の解約するタイミングを返戻金がピークになる時期に実行することで(大抵は契約から10年前後)それまで支払っていた10年分の保険料の大半が手元に戻ることになります

これだけ読むと何ら変哲もない動きに見えてしまいますが、手元に戻って来たキャッシュは元々自分が掛けていた保険料ですので課税視点では課税を掛ける事が出来ない訳であり、結果としては企業は手元のキャッシュを保険商品を使って"泳がす"だけで節税が実現出来ることになって来ます。

またその後、計画的に解約した後に戻って来るキャッシュは設備投資や役員退職金などの原資としても使用出来てしまうと言う、言わば"2度美味しい"スキームとして変身することにも可能になるのです。

国税の目線としては、この商品のこうした側面に対して一種の"過度感"を感じていたと言うこともあり、それが今回の発表の引き金となったことは想像に難くありません。

但し、そうは言っても中小企業のオーナー達などは、単に法人税の節税だけでなく、オーナー自身が死亡してしまった際の相続税の納税資金対策についての現実がある訳で、こうした商品にメスを入れられてしまったりすると、将来的な対策については一層手薄感が強調されてしまうのは否めず、今後はこの部分に関するディスカッションが民政関で継続するのではないかと見る向きもあることをお伝えして置きます。

※国税庁は、節税型保険の支払保険料に係る税務上の取扱いを変更する旨のアナウンスをしていますが、具体的な取扱いについてはまだ現時点では明らかにしていません。今後、保険業界等からの意見聴取を踏まえて、取扱いを定めるものと考えられます。

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