古くは「味千ラーメン」から「ポッカコーヒー」、また最近では「一風堂」や「CoCo壱番屋」等々...日本の人気店を香港で食べられないことは殆ど無きに等しいのが今の香港の飲食業界の風景です。
景気的には(現在でも続いてしまっている)デモの影響もある為、日本の進出店が設定する料金水準が香港人の外食意欲(?)を削いでしまっているのは否めませんが、それでも「日本食」については彼等の間で一定の"市民権"を得ていると言っても過言ではなく、故に景気後退の渦中であったとしてもその熱は衰えを見せないのではないかと言う向きも御座います。
一般的に言って、香港人の外食癖と言うのはとても合理的な部分を背景・理由としていると言っても良いかも知れません。これは、先ず住環境として居住スペースと言うものが他国のそれと比較して極端に限られていると言うことがあり、食材を買う購買パターンに置いても大量にまとめ買いしてそこから少しずつ使用(調理)して行くと言うスタイルにはもともと馴染んでおらず、むしろその逆である"日々購入型"に軸足を置く方向へ流れて行きました。
結果、日々購入→調理の煩わしさも手伝い、これが彼等の外食癖のベースとなって行った訳です。実際のところ、選ぶ食材なや調味料等の購入費などを考えると外食した方が安上がりになる場合も無くは無く、合理的な考えをする香港人にとってはこのスタイルが一番シックリと来る部分もある面は否定できません。
次にこうした外食癖が色濃い香港人が作る香港外食市場ですが、飲食店をオープンすると言う目的で進出・経営をして行く場合はどのようなライセンスが必要となって来るのでしょうか?先ずレストランを開業する際には①通常ライセンスと②軽食ライセンスとに分類されている事を認識しなくてはなりません。
香港の、特に通常ライセンス取得の為の飲食店審査は(香港市場自体の全般的な"緩さ"とは真逆で)非常に厳格なものであり、レストランライセンス申請の際には植物環境衛生署に申請書と店のレイアウト図等の提出を義務付けられ、また野宇署による建物審査、消防署による安全性審査、更に換気システム、排水、建物の耐久性や防火構造や厨房&洗い場の面積の通知まで徹底的な審査が義務付けられると言う程の強度なのです(また、日本食に欠かせない刺身、寿司などについては販売制限があり、これは通常ライセンスとは別途に申告→許可を取得しないと営業が出来ません)。
他方、軽食ライセンスについては食物環境衛生署が発行する「軽食レストランライセンスによる調理および販売可能な食物一覧表」に記載されている食物のみを提供する場合にのみ許可がされるものです。
主として麺類やデザートと言った限定的な品目のみなので通常ライセンスと比較するとその取得条件はかなり緩和されたものであると言うことが言えるでしょう。次に飲食店内で酒類販売及び酒類提供する場合はリカーライセンス局の申請が必要になり、これは上記のライセンスとは全く別の位置付けになり、また取得にはそれなりの時間が掛かる(例:半年等)場合があることを想定しておかなくてはなりません。
上記が代表的なライセンス種類となる訳ですが、ここで最後に香港市場への進出上のメリットデメリットについて触れて置きます。
香港市場への進出上のメリットとは...
① 外食産業が進んでいる
② 日本食の人気が高い
③ 低い税率
④ 食の衛生や安全性に関する意識が高い
⑤ 自由市場であり政府介入は殆ど無い
⑥ 外為管理無し
⑦ 海外からの投資制限無し
⑧ 日本から近い
⑨ 多国語を操れる人材が多い
デメリット
① 家賃の高さ
② 激しい競争
③ 仕事に対するモラル感の違い