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中国が被害者になる?香港の横暴と報じられる"ある国"の見方

更新日:2019年10月21日

既に有名な話ではりますが、中国国内では基本的に我々が日常的に使用するGoogleやFacebook等へのアクセスはブロックされています。

どこの国でもその国民に対して"都合の良い"ストーリーを作りたいと言う"誘惑"はあるものですが、これが中国と国になると、もうそれこそ国主導の判断基準から来る"フィルター"によって相当量の情報が"分断"されているというのが実情です。

例えば、中国国内で最も利用されている検索エンジン「百度(バイドゥ)」で"香港デモ"を検索してみると、デモそのものは外の政権によって企てられたものであり、地元の人々(香港人)から非常に大きな迷惑を被っている、或いは分離主義者による小規模で暴力的な集団にすぎない、等と跳ね付けていたりします。

また、他の中国国営メディア等では、デモ参加者による香港国際空港での座り込みの際に発生した事件(中国本土から来ていた報道機関のひとり、グローバル・タイムスの付国豪記者が「香港警察を支持する」と叫んだことによってデモ隊の感情を刺激し、結果として殴打されてしまった事件)での記者の行動と勇気を讃えるなどして「英雄」扱いしていたり、意図的に"衝突"や"暴徒"、"暴動"といった言葉を用いることで香港で起こっている暴力行為を非難し、本土の人々の怒りを煽っていたりします。


その他でもいくつかこうした記事を纏めてみると、ある"一定のトーン"で報道が統制されているのが垣間見えて来ます。

・6月9日、抗議デモ初回時→"香港の保守派が米国の干渉に抗議する行進を行なう"(中国環球時報)
・7月1日、デモ参加者が立法会(議会)の庁舎内に突入して占拠→「衝撃的で、悲惨で腹立たしい大量破壊をもたらした、不法行為」(新華社通信)
・7月29日、香港連絡弁公室がデモ参加者によって包囲→国営メディアは再びデモ参加者を非難。


中でも極め付けなのが、警察との衝突で目から出血した女性抗議者を巡るものです。負傷した原因は、デモ参加者と警察双方が物を投げ合っていた際に発生した為、女性の目の負傷が果たしてどちら側の行為によるものなのかは不明であるにも関わらず、CCTV(中国中央電視台)は、女性の負った怪我の原因は他のデモ参加者によるものだと断定し、さらにその流れで紙幣を数えているその女性の写真も公開。曰く、この女性は"負傷した"女性と同一人物であり、金で雇われた「工作員」の一人なのであると報道したりもしてます。


こうした偏りを見せる一方では、中国には、チャットアプリ「微信(ウィーチャット)」や中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」などで活動する、個人ブロガーがたくさん存在しています。

こうしたブロガーの意見は、特に政治的に微妙な問題に関するものの場合は限られた人にしか届かないように当局からモニターされていますが、先般も、微信上のある投稿が、一時的に拡散されることがありました。

この投稿の内容と言うものは、香港デモの詳細な時系列、またその本質的な問題点の投げ掛け、また歴史的背景などを説明すると言う、言わば国営メディアが避けてきた項目を網羅していたものでしたが案の定、大規模な検閲システムによって数時間後に削除されてしまうこととなりました。


このように、中国でも一部特定層の人間は外部ニュースへのアクセスを行なっており(これ自体は中国国内法的には違法行為)、我々西側の人間達と同じように状況を俯瞰することが可能なのです。

しかしながら、これらを可能する中国人の意見は意外にも冷静に事態を捉えている向きがあります。数ある分析事例の中にはこうした騒動の背景が、主に政治的なものなのではなく経済的理由があると見ているからです。むしろ、香港人の執拗な抵抗と言うのは自由主義を名目にしていつつも、中国に対する経済的な側面での嫉妬=中国人にいつか追い越されると言う恐怖からの現実逃避があの行動として表出していると言うのです。


イデオロギーではなくエコノミー...香港人が内に抱くこの"やっかみ"こそが、中国を"悪者"にしたて、その悪行を世界に喧伝すると言う図式である故、このデモによる真の被害者と言うのは香港ではなく、自国(中国)なのだ、と言うのが大陸側の見方。


さて、貴方が中国人だったらどちらを取るでしょうか?

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