「意識調査」と言うものは、ある目的を設定後にそれに沿った一定の質問を一定層の人間達を対象として行うことでそこから出て来る反応事例を纏め上げ、統計的な数値や評価を下すと言うものですが、今回の「香港デモ」に於いても幾つかの機関が大学などの依頼を受けることで香港市民の意識調査を実施しています。
今回事例として挙げさせて頂く元データと言うのは香港でもトップの大学のひとつとされ、世界的にも評価が高い香港中文大学が実施したものであり、デモの引き金となった『逃亡犯条例』の改正騒動が起こってから断続的に意識調査を実施しています(「香港の法治状況に対する市民の意見調査」と銘打って実施)。
彼等の調査方法と言うのは毎回定形となるのですが、固定電話と携帯電話の2つでアンケート型のスタイルで質問を行い、その対象者の選出については其々の機関にストックされている番号を元としてコンタクトを行います。また被験者の条件は毎回15歳以上としており、また広東語が操れる人間→所謂、"香港市民"と言う形で実施しています。
このような形式&条件で行ったアンケート調査から出て来る香港人の"本音"と言うのは果たしてどのようなものであったのでしょうか?
以下は最新の調査対象(尚、調査期間は2019年10月8日〜14日)となった751名から得た結果の一部となりますのでご紹介しましょう。
Q1. 香港警察は信頼できるか?
昨年の10月の段階では"全く信用出来ない"(ゼロ・トラスト)返答した市民は51.5%であり、これはデモが始まった6月(6.5%)から比較すると約8倍に膨らむ形となりました。
Q2.警察組織の大規模改革は成されるべきだと思うか?
これに対する回答は68.8%の対象者がYESと返答し、NOと答えた対象者は22%に止まりました(9.2%はノーコメント)。
Q3.覆面禁止法に対する緊急法案を支持するか?
反対票が71.4%であり、どちらとも言えないと答えた層は8.2%。そして賛成と返答した層は19.3%と言う結果が出ました。
Q4.デモ隊と警察の暴力行為はどちらが"度を超えている"と感じるか?
・デモ隊:42%
・警察:67%
やはり、警察の行為は"行き過ぎ"であると言うのが一般層の印象として色濃く残っているようです。
Q5.香港に於ける自警主義上、どのような対処であれば賛成が出来るか?
・デモ隊は対立サイドを制圧するに限り、力を以って自己防御行為をする:52.5%
・デモ隊は暴力行為はするべきではない。対立は警察によって対処:25.8%
・デモ隊は相手サイドに力で仕返しを行う:18.2%
意外と思われる点は相手サイドへの攻撃を許す層が20%近く居るところでしょう。市民のフラストレーションが山積されて来ている可能性があると考えます。
Q6.各要求事項の支持について
5大要求事項(以下)がデモ隊の掲げる政府への主張ですが、一般層はこれらに対してどのような感覚を持って自体の状況を眺めているのでしょうか?(以下は5大要求の内、今後大勢を動かす影響があるであろうと見られる3項目を選出しています)
1.警察の独立調査委員会設置→YES90%(NOは約8%)
2.キャリー・ラム行政長官の辞任→YES 75%(NO→約18%)
3.普通選挙実施→YES80%(NO→10%)
Q7.警察の発砲事件について
これは警察がデモ参加者の少年に向けて無慈悲な発砲を行った事件のことを指していますが、これに対する市民の印象は以下の通りとなっています。
・警察はデモ隊に向かって発砲するべきではない→48.1%
・胸を打ったことが受け入れられない→20.4%
・混乱した状況ゆえ発砲は、疑問の余地は有る反面、理解も出来る→18.6%
・自己防衛として全く問題はない→11.4%
警察側に立って発砲を正当防衛と捉える層や、発砲に一応の理解を示す層が3割居ることについては驚く他有りません。
Q8.警察とデモ隊衝突の最大の責任者とは?
これは警察とデモ隊の武力を以って衝突している現状を生んでしまった最大の責任者とは誰なのか?と言うものですが、やはり、結果的には香港政府のだらし無さを糾弾する声が他を圧倒している結果が出ることになりました。実に52.5%が責任の所在を香港政府としており(2位は今回中央政府、3位は香港警察)、主体性無き政策方針に対して忸怩たる想いが募っているのが現状であると言えます。