コロナウィルスが中国武漢で発生してから早4ヶ月近くの時間が経過しました。現在の状況というのはその昔にヨーロッパを席巻したと言うペスト以来の惨状であり、毎日のようにその感染者数と死亡者数が増え続けると言う誠に憂慮すべき様相となっています。
このように、この新型肺炎の世界的な流行=パンデミックは2月を経過したあたりから様々な産業分野に多くの負の影響を与え始めており、先行きが見えないこの展開に今や世界中が"恐れ慄いている"と言っても過言ではありません。
日本政府もタイミング的には非常に遅い段階でようやく重い腰を上げて香港を含む外国からの入国者に対する制限(14日間の検疫期間を設置する)をスタートしましたが、まだまだ国の中枢部ですらこの新型肺炎に対する認識は甘く、国のトップは"非常事態"と言う言葉すら使用しようともしません(各国は逆にこの言葉を既に多くのトップが発言を行なっています)。
香港は既にそうした"遅々として進まない"日本の状況を尻目にかなり早い段階から対応策を実施しています。こうした姿勢は既に香港内に拠点を構える各国大使館や領事館にも通達されており、地域を挙げて徹底対応を実施していることが伝わります。
以下は日本領事館が3月19日に発表した通達の内容となりますのでご覧下さい。特に監視用電子リストバンドの部分の文章には香港政府の本気度が伝わって来るかのようです。
新型コロナウィルス感染症(その26:香港の検疫強化措置の詳細<マカオ除く>)
在香港日本国領事館
(1)3月19日より実施が開始された過去14日以内に日本を含むすべての国・地域(中国本土・マカオ・台湾を除く)に滞在歴のあるすべての入境者への14日間の強制検疫について、18日晩、香港政府はプレスリリースとソフィア・チャン食物・衛星局長官会見等を通じて、さらなるしょうさいとして要点を以下のとおり説明しました。
(ア) この強制検疫の実施期間は、3月19日午前0時から6月18にちまでの3ヵ月間。
(イ) 2月8日より実施している中国本土からの入境者に対する強制検疫は引き続き有効。
(ウ) 入境者は(a)健康申告表と検疫令上の書類を着ないで記入、入境時に提出するほか、(b)全員が監視用電子リストバンド(位置確認を行うデバイス)を装着するよう求められ、また(c)空港でサンプル検査として唾液採取が行われる。
(エ) 強制検疫の場所(上記書類に記入。)は主として自宅とするが、ホテルも可。原則として外出は不可になる。
(オ) この措置は新たに制定された法令に基づくもの。健康申告表の虚偽申請や強制検疫の場所から離れる等の違反がある場合は刑事犯罪を構成し、最高罰金2.5万香港ドル及び禁錮6ヵ月の罰則を課す。
(カ) この強制検疫措置の免責対象者(例えば航空機や貨物船の乗員等)に対しては、医学観察(毎日の体温測定やマスクの着用など)を求める。
(2)併せ、香港政府(民政事務局)は、この強制検疫中につき、以下の点を通知しています。
(ア)良好な衛星状態を保つとともに、家族、友人との接触を最小化すること。
(イ)毎日体温測定と体調チェックを行うこと。
(ウ)食料・日用品の確保は同居の家族や友人に依頼すること。同居者以外の親戚・友人が届ける場合、検疫場所に立ち入らないようにすること。
(エ)14日以内の出境、食料・日用品の入手が困難な場合など、強制検疫中に困った場合、個別にアドバイスが必要な場合等、各地区の民生事務局24時間ホットラインに連絡すること。
以上、執行期間の幅やリストバンド、また罰則規定や24時間ホットライン等々、これ以外にも街自体の定期洗浄や公共交通機関への乗車対応策等々...香港のそれはまさに日本とはレベルの違う強度と真剣さが感じられます。何にしても、こうした官民併せた努力が感染拡大を阻止する結果に続びついていると言うのは想像に難くありません。
言い方を変えると、日本の"緩さ"が香港の体制を見ると、まさに炙り出されていると言っても良いのではないでしょうか?