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「第3波」が入って来た香港は、果たして世界の"ロールモデル"となり得るか?

更新日:2020年08月13日

世界の状況と比較して、新型コロナウィルス感染症対策における香港の成果と言うのは(台湾に次いで)素晴らしい実績を残していることに異論を挟む人達は少ないことでしょう。しかしながら、結論から申し上げると終息モードに入るのもやや"性急過ぎた"と言えるかも知れません。


7月19日、香港行政長官のキャリー・ラム氏は1日のコロナ新規感染者数が香港としては"記録的な"108名に登ったと発表しました。この108名、数字だけで捉えると(最近200名超を連日記録する東京都などと比較すると)それほど大騒ぎするものでは無いとの見方は有りますが(東京などは23日、とうとう366名を記録)、一方では人口比で我国などと換算した場合、香港自体が日本の約17分の1程度でしかない為、逆算すると108(名)✖️17(倍)=1,836人と言う数に膨れ上がることになります。


勿論、これはあくまで比較軸を変えただけの値なので実際の状況を正確に反映するものではありませんが、これが契機となって官民ともに一旦"緩んでしまった"感覚に再び鞭を入れる流れとなったことは言うまでもありません。


さて、香港で気になることと言うのはむしろこうした上記の1日だけの感染者数だけでは無く、それに至るまでの「経緯」や「内容」についてです。と申しますのも香港では域外からの流入者を除く感染者数と言うのがこの2週間程で合計として560名に膨らんでおり、sその内感染経路不明者と言うのが半数近くを占める形になっているとのことです。


またその感染者の内容も日本や米国などのそれとは一線を画しつつある点も見逃せません。


これまでの香港の感染者の中央値年齢と言うのが大凡"40歳"であったことに対して、今回(第3波)はその中央値が何と55歳まで跳ね上がってしまっており所謂「高齢者層」へと軸足を移すことになってしまいました。

当然、この層の感染者というのは今後"重篤化"する可能性が非常に高く、(キャリー・ラム行政長官の言葉を借りる訳ではないですが)処方を少しでも間違えてしまうと爆発的な死者数が発生すると言う状況に転化する可能性を含んでいます。

また現在、香港政府は検査や隔離、入院施設の拡大の為の準備をトッププライオリティーとして取り組んでいますが、残念ながら病床数の空きなどの面では欧米などのそれと比較すると全く充分であるとは言えず、社会不安を助長する要因のひとつとして市民のフラストレーションを募らせる状況となっていると言うのが現況です。


これはどの国でも言えることなのかも知れませんが、この新型コロナウィルス感染症対策で一旦、それなりの成果を挙げてしまうと、(その反動なのでしょうか)どうしても必要以上に"気の緩んだ"行動や反応に戻ってしまうのが大衆の常と言えます。

事実として香港でも春先の段階で既に(マスクやアルコール消毒付きとは言え)バーやレストランには大勢の客が戻っていましたし、域外からの訪問者を巡る管理の抜け穴や甘い隔離体制と言った様々な"緩み"が新型コロナに付け入る隙を与えてしまいました。


その結果が上述の500名超の新規感染者数がこの2週間で発生すると言う結果の引き金になってしまった訳ですが、仮にこのまま状況が更に悪化するようなことがあれば、現在の制限事項(例'バーやジムの閉鎖、飲食営業の時間制限、ソーシャルディスタンスを巡る措置など)を一層厳格化する流れとなるのは否定出来ず、場合によっては「ロックダウン」導入も現実的な選択肢として視野に入って来る状況へとなっています。


"封じ込めの成功事例"として世界から認識されていた香港のこの"暗転"。これは、今後もこのパンデミック(世界的大流行)でより深刻な感染拡大が起きる可能性を示唆するものであり、先に"GO TOキャンペーン"を強行した日本などを筆頭に、今や各国政府にとって(準備を怠るな!)と言う教訓・警告となっていることは想像に難くありません。


香港がここからどのように持ち直して行くのか?そんなテーマが背面にあると言うのは果たして言い過ぎでしょうか?

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