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香港も例外でない?「駐在員事務所」ですらPE認定されてしまうものなのか?

更新日:2020年09月25日

香港などの地域に海外進出を行う際に先ず注意しなくてはならない点と言うのは、一にも二にも課税関係の整理となります。何故ならこの地がもともと世界でも有数の軽課税地域(=タックスヘイブン地域)であると言う為であり、その為、税務当局の目線と言うのは最初の段階からかなりの厳しさを帯びるモノとなるのが現実です。


昨今、この手の調査の中で頻繁に目にするものというのは先ず「移転価格」ですが、それ以外の案件と言うものの中には今回テーマとし取り上げるPE(=恒久的施設)認定課税であると言っても間違いではないでしょう。

2020年は"コロナ禍"と言うパンデミックにより、企業自体が軒並み収益ダウンと言う状況に追いやられていますが、これは税務局も同様であり、最近では何とか税収を確保したいと言う当局側の思惑が強く前面に表出しつつあります。故により一層の強度を持って企業の施設等(例:事務所など)をメインとして発生するPE認定に血眼になっていると言うことなのかも知れません。


さて、このPE(恒久的施設)認定課税と言うものですが、その基本的な考え方としては海外に「現地法人」や「支店」を持つような企業の場合、その国に置いて税務申告→納税を求められるのは極めて普通のこととなります。

何故ならば、これはそうした企業が(進出先である)外国市場で事業活動を行い、結果、所得を得ることになるからです。この部分で上記のようなPEの概念をフィルターにかけると何ら抵抗感なくその課税プロセスに納得する形になる訳ですが、これが例えば事業活動を行っていないとされる「駐在員事務所」となると如何なものでしょうか?


言うまでもなく、「駐在員事務所」と言うものは基本的に進出先国において税務申告や納税を求めれる進出形態ではありません。何故ならこの形態はあくまで情報収集であるとか日本国内のお客様へのフォローアップ業務のみに限定される進出形態なのであり、売上そのものが立てられない建て付けであるからです。

つまりこれは、PE(恒久的施設)を使用して売上を立てる→利益を創出する→課税対象となる、と言う原則論から外れた領域の事業活動であり、売りが立たない以上は課税しようがないと言うことになる訳です。

然しながら、「駐在員事務所」と言う位置付けであってもその拠点が駐在事務所の活動枠を超えてしまっていると税務当局が判断した場合は話が違って参ります。つまり、理由は何であれ、一旦「PE認定」されてしまうとその進出先国での課税が発生すると言うことなのです。


では仮に、このPE認定をされてしまった場合、「駐在員事務所」はどのような対応をすることになるのでしょうか?結論を申し上げるとこれは基本的に現地法人や支店と同様の取扱いとなり、その後日本本社としては外国税額控除の適用を視野に入れた形で二重課税回避の為の手続を取る必要があります。


何れにしても、PE認定と言うのは企業活動の事実認定と言う問題となるので、例え駐在員事務所であっても「疑わしい」と思われる領域の仕事については分別を持った行動倫理が必要になると言うのは間違いありません。

例えば現地顧客等との販売契約の締結を駐在員事務所が割って入るようなアクションは自粛すべきであり(何故ならこれを"営業活動"と判断される可能性が大きくなる為)、その部分のステップなりマニュアル整備と言う面での準備は"必須事項"と捉えた方がベターであると言えます。


何故なら、(極論にはなりますが)物理的な拠点なしの日本国内の企業が海外に専属販売代理人を持つような場合、その代理人が日本企業からの仕事以外の仕事を行っていなければ、その販売代理人自体がこの日本企業のPE認定の対象になってしまうケースもあるからなのです。

何れにしてもこのPEの認定には"広義"と"狭義"の意味合いが微妙に鏤(ちりば)められている玉虫色的な物差しである為、今後一層の注意が必要となると想定されるべきでしょう。

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