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【香港問題】に自身を重ねる台湾と「一国二制度」を巡る関係
更新日:2020年10月19日
香港と台湾は、(中国からすると)あくまで自国内に存在する"二つの地域"との位置付けです。しかしながらこの二つはその誕生から現在に至るまで多くの政治的な要素が含まれており、結果的に(中国以外の国々から見ると)非常に"特殊なポジションに居る"と言うのが世間的な共通認識ではないでしょうか。
例えば香港で2019年の「逃亡犯条例」から勃発した長期抗議デモで中国が採った鎮圧方法と言うのは完全に自国でそれまで行って来たやり方を踏襲するものでありますが、逆にこれに対して反応した世界の認識と言うものは香港人の主義・主張の自由と言うものを完全に拘束するもの、即ち「自由主義社会に対する挑戦」と言う受け取り方でした。
また、今年の7月に「国家安全維持法」導入に至る経緯においても、中国はまさに一方的なスタンスで法律(香港基本法)を飲み込む法律の設定・導入を行ったと言うこともあり、これまた世界中からそのやり方について大きな非難が寄せられたことは記憶に新しいところです。
このように香港は(台湾と比較した場合)「一国二制度」を前提とした"半中国"の状況下で1997年から経済を主体として融合して来たこともあった為、昨年から続いて来たこの1年半の状況と言うのは何れも中国の"我儘(=エゴ)をまともに"直撃"する形で振り回されて来ました。
そしてその進捗状況を今まで東シナ海を挟んだ先から静観してきた台湾は、先の「逃亡犯条例」絡みのこと(台湾に渡航した香港人の若者の処遇が切っ掛け)であったり、先の活動家逮捕劇のこと等からいよいよ「対岸の火事」では無くなって来たとの危機感が国内世論の中に拡がりつつあります。事実、中国からの政治的な圧力と言うものは、昨今、相当なレベルで露骨化して来ており、香港の"現状"と言うものが、即ち台湾の"明日の姿"と重なると言う懸念が官民の間に強くなって来ています。
では、台湾が中国が行う香港の扱いと言うのについてこれほどの危機感を募らせる、所謂、"自己投影"せざるを得ない理由と言うのは一体何処にあるのでしょうか?その根本を辿って行くと、実は香港に導入した「一国二制度」と言うものが横たわっていることに行き渡ります。
実はこの「一国二制度」と言う概念は、本来、台湾を統合する際の中国側の妥協案であったと言うものでした。こうしたことを前提にしているがゆえ、台湾が独立に関することを明確化したり主張したり、或は諸外国(例:アメリカ等)が台湾を"国として認める"等のステートメントを出すと中国側が過大な程神経質になるのは、もともと台湾は中国の領土と言う考え方が根強く北京に存在すると言うことと、この「一国二制度」のモデルを台湾が実践出来ないと将来的な中国の国益を創出出来ないと言う点が存在するからなのです。
将来のことは"神のみぞ知る"と言うものにはなりますが、既に中国の手中(?)にある香港を糧にして、今後台湾がどのような立ち位置を維持して行くのか?と言う点は、アジア圏に於ける最大のキーポイント(=不安材料?)として推移・展開して行くことになる可能性があります。中国を中心に「一国二制度」繋ぐ香港と台湾。"火薬庫"にならないことを我々は祈るしかないのかも知れません。