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日本と海外の税法適用に関する考え方について−2

更新日:2020年11月17日

前回の話では、製品を単純に日本から輸出するケースを具体例(1)として説明し、国際税務的な検討が必要となる事例2(表記上では具体例(2))に於いて、ロイヤルティの受け取りに関する日本と香港の構造を中心としてご案内する中で、以下のような視点を吟味する事が必要であると唱えました。


以下、抜粋;
具体例(2)海外(香港)企業とライセンス契約を締結するようなケース
条件:国内企業が所有している特許について"ライセンス契約を締結したい"と申し出て来る香港の企業があった場合。


1.日本の税法ではどうなるのか?
ロイヤルティの受け取りが国内企業からの受け取りか、海外企業からの受け取りかを問わないようなケースの場合は日本の税法(法人税法など)に基づいて課税される事になります。つまり、ロイヤルティを受け取った日本企業はその額を課税所得に含まれる事となり、約30%と言う日本の実効税率で通常通りの法人税等が課せられると言う解釈です。


2.香港での税法ではどうなるのか?
香港にある企業からロイヤルティ受け取りをする場合、日本の税法の他に、香港の税法に基づく課税を考えを行わなくてはなりません。香港でロイヤルティに関する税率と言うのが4.95%ほど掛かるので、この部分については予め理解して置く事が重要です。

こうしステップを踏んだ後、次に検討して行く内容と言うのが今回の主軸となる『租税条約』の観点です。
勿論、租税条約に絡む「海外取引」と言うのは様々なケースが想定される為に必ずしも"対香港"である必要はございません。従って下記での事例については、一旦、ここは「香港」と言う"前提"を外し、より一般的なケースを想定した形でご説明します。



具体例(3)租税条約を検討した際のケース
ロイヤルティ支払いと言う一つの取引形態について考察すると、日本では通常通り30%の税率で課税されることになりますが、同時に海外では租税条約で決められた上限をリミットとしてその国で課税されることになるのが一般的です。これを税法の視点から見ると、いわゆる「二重課税」と言う形となる訳です。

このように、日本の税法と海外の税法が別々に存在すると言うことは現実の世界であり、これは即ち海外進出企業にとって常にこの「二重課税」のリスクに直面していると言うことを意味するのです。二つの国からの課税と言うのは(もともと日本国内の税率が高い故に)悩ましい一面であると言えます。従って、日本の会社が取引相手となる海外企業の所在地国に支店や子会社といった拠点がない場合は、上述のライセンス契約から発生するロイヤルティについては事前に十分な個別検討を行う必要があるでしょう。



具体例(4)海外に拠点を持つケース
では最後に国内の日本企業(親会社)が海外に支店や子会社と言った拠点を設けた場合はどうなるのでしょうか?

海外に拠点を設けると、海外との個別の取引の検討に加えて、海外支店や海外子会社と言った拠点自体の税務を考える必要が出て参ります。例えば、親会社の海外支店や海外子会社は現地で申告や納税を行うのが通常であり、この場合の所得計算は当然、海外の税法に基づいて行われます。また進出の携帯によっても違いがある点を押さえておかなくてはならないでしょう。


>海外支店の場合:海外で一度課税された支店の利益が日本でも課税され、その段階で「二重課税」が発生します。


>海外子会社の場合:現地法人である海外子会社が上げた利益は(原則的に)日本で課税されることはありませんが、この海外子会社が税引き後の利益を日本に還流させるタイミングでは日本の課税体系を考える必要が出て来ます。

つまり、海外子会社は一度、海外の税法に基づいて課税された利益を原資として日本親会社に配当するので、その配当が(日本の税法に基づいて)日本で課税されると"二重課税になり得る"と言うことなのです。但しこの二重課税が発生した場合は別途、「外国税額控除制度」を使用することで二重支払いとならないような手続を手配することは可能ですのでこのケースに該当するようなお客様の場合はこの視点を押さえておくと良いでしょう。

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