1. TOP »
  2. 法人設立お役立ち情報 »
  3. 香港 »
  4. 香港一般

香港法人・オフショア法人設立お役立ち情報

香港 > 一般

香港の権利の封じ込めと中国の運命について

更新日:2020年12月30日

香港で「逃亡犯条例」改正への抗議デモが勃発したのが2019年のことではありますが、最近ではコロナ禍を中心とした理由でデモ参加者が激減し、今や市民を取り巻く情勢というのは著しく変化して来ています。本稿ではその運動の理由を経緯を辿る事で紐解き、又、中国がどのようにこれらを潰して行ったのかと言うことを考察します。


まずそもそも何故、香港市民は大掛かりなデモ運動を断続的に繰り返したのでしょうか?


その理由はと言うと(本Blogでも度々触れて来たことではありますが)、香港政府が議会に提出した「逃亡犯条例」の改正案に端を発します。この改正案の中身と言うのは、例えば中国で何等かの犯罪の疑いをかけられた容疑者が(仮に)香港にいたような場合、その人間を無条件で中国に引き渡すことを可能とする内容です。

そのまま文面だけを読んで行くと当たり前のことをわざわざ何で書く必要があるのか?と言う印象にもなりますが、実はここで香港の市民達が一番恐れたことと言うのは、一党独裁の国であり人治国家である中国が、自分達にとって都合の悪い人間達に無実の罪をでっち上げる等して逮捕する口実を作るのではないかと言う点でした。


事実、中共管理下にある裁判所では裁判自体が正しく機能するのかどうかは定かでなく、こうしたことが彼らを抗議デモに駆り立てる要因となったのです。


市民が香港政府(と中国)に"抗議デモ"と言う形で要求したことと言うのは5つ(*)あり、更に「逃亡犯条例改正案」を廃案にするため徹底抗戦を展開したこともあってか、民意を受けた形で表面的には決着することになりましたが、逆にこれが中国の逆鱗に触れる導線となってしまいました。それが今年の6月30日に導入されることになった「国家安全維持法」となって表出することとなったのです。


この法律(**)も一見すると何ら厳しい措置を敷いたようには見えませんが、しかしながら何気に恐ろしいことが書かれていると言えます。例えば最高刑は終身刑と処すと書かれていたりれているところ等も特色のひとつと言えるでしょう。実際、香港の街頭等であるキーワードを言ったり、旗を振ったりすると、この法律下では"国分裂、或いは政権の転覆を図った"と解釈され、取締りの対象となったりしてしまうのです。


こうした脅し的な圧力によってなのでしょうか、昨年の6月に「逃亡犯条例」改正案に対する抗議デモが行われた際に参加した市民の数は100万人超であったのに対し、一年経った今年の6月に「国家安全維持法」が施行された後での集まりと言うのは(コロナ禍が大きな要因であると見る向きもありますが)僅か数百人レベルまで減少するものとなったのです。

こうした面を見ると、中国政府(香港政府含む)が行なった動きと言うのがまさに域内の統制には"効果てきめん"であったことが証明されたと言え、その意味では抗議活動はほぼ"潰えた"と解釈すら出来ます。


しかしながら、例えば(香港とは関連性がないように見える)今年の米国大統領選挙での中共の暗躍から湧き出る反感が功奏するようであれば、中国そのものへの世界的な非難が高まることで思っても見なかった好転が発生しないとも限りません。事実、米国や豪州、或いはロシアまでもが現在包囲網を形成し始めているとすら言われている現状もある為、こうした運命(幸運)が、近い将来、香港に舞い降りることを今は祈ろうではありませんか。


(*)5大要求
・条例改正案の撤回
・行政長官選挙への直接選挙制度の導入
・警察の取り締まりを調査する委員会の設置
・抗議活動を「暴動」とする見解の撤回
・逮捕されてしまった人達の釈放

(**)
1 国の分裂
2 政権の転覆
3 テロ活動
4 外国勢力との結託

▲ページのTOPへ

スマホサイトを表示