コロナ禍が発生してほぼ一年が経過しようとしています。日本でも海外展開を行なっている会社からすると多くの面でビジネスが滞ってしまっていることが今年の流れであり、利益を創出することが出来ないものとなっています。一方で税収増額を目指す税務局としてもこうして赤字化する企業が増加することは税金を徴収出来ないと言う形に繋がることになる為、欲求不満が溜まる状況に陥っていると評しても間違いではないことでしょう。
さて、こんな中で企業が、特に平時に海外で儲けを享受している企業ができると言うことは、海外取引全体の中での値段設定について、特に海外にある自社の子会社との製品価格及び利益率、ロイヤリティーと言った面での価格設定を吟味・調整するタイミングと言えるかも知れません。特に税務調査が前回入ってから数年経っているような企業にとってはこうした"空き期間"を利用し価格帯の見直しをすることで次回の税務調査対策の準備を行えることになる訳であり、こうしたある種の"事前対策"が企業にとって税金の過剰支払いを防止することになる場合もありますので肝要です。
以下にご案内することというのは移転価格の税額判定の際に登用されると考えられている方法です。3つの基本的な方法と主体とし、その後枝分かれする形で広がる算定基準について企業のご担当者様は理解をして置く必要があります。これらに対して正しい理解を行い、来たる平時における海外ビジネスでの利益を守るための情報としてご利用ください。
基本三法(棚卸資産の販売又は購入資産に用いる)
1.独立価格比準法(CUP法=Comparable Uncontrolled Price Method)
2.再販売価格基準法(RP法=Resale Price Method)
3.原価基準法(CP法=Cost Plus Method)
基本三法と同等の方法(棚卸資産の販売又は購入取引以外の取引に用いる)
・独立価格比準法と同等の方法
・再販売価格基準法と同等の方法
・原価基準法と同等の方法
基本三法に準ずる方法(基本三法又は基本三法と同等の方法を用いることが出来ない場合に限り用いることができる)
・独立価格比準法に準ずる方法
・再販売価格基準法に準ずる方法
・原価基準法に準ずる方法
・独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法
・再販売価格基準法に準ずる方法と同等の方法
・原価基準法に準ずる方法と同等の方法
その他政令で定める方法(基本三法又は基本三法と同等の方法を用いることが出来ない場合に限り用いることができる)
基本三法を構成する3つの方法についての説明は以下の通り。
・独立価格比準法
この方法は国外関連取引(親子間取引)に係る価格と比較対象取引に係る価格及び価格帯を直接比較するもので移転価格における基準判定算出の際に最も直接的なアプローチと考えられています。又、外国子会社が第三者から同じ製品を同じ条件で購入しているのであれば、この製品の価格が比較対象となる場合もあります。
・再販売価格基準法
この方法は国外関連取引(親子間取引)の買い手が、買い取った棚卸資産を第三者に再販売する時の価格(再販売価格と言います)から、通常考えられる利益を控除した金額をもって独立企業間価格とする方法です。「通常考えられる利益率」とは、機能やリスクに重要な差異のない比較対象企業の売上総利益率を用いることになります。
・原価基準法
この方法は、再販売価格基準法と同様、国外関連取引に係る売上総利益の原価に占める割合(マークアップ率)と比較対象取引に係る売上総利益の原価に占める割合を比較する方法です。