今、香港政府が域内外に対して行い始めたプロモーション及び財政支出が話題を呼んでいます。香港を諸外国の方々に今一度知って貰おうと言う趣旨でスタートしたものが「香港スーパーファン」と言うアクティビティであり、また先般、今度は地元である香港居民への"還元"という意味で2020/21年の財政予算案を発表しました。
何れもその内容と言うのは、過去2年間に起こったことに関する"失地回復"の意味合いが強いものとなったことは想像の通りと言えますが、その内容は中々充実したものであることが見て取れます。
さて、貴方自身が仮に香港住民だとした場合、以下に関する情報を得ることになったとしたら、果たしてこれらはどのような「印象」としてその眼に映るものなのでしょうか?
<香港スーパーファン>
香港政府観光局は、新型コロナウィルス収束後を見据えた観光復興プランのひとつとして、香港のコアファンとの関係を強化する「香港スーパーファン」なるプロジェクトを発表しました。このプロジェクトが設定するメインの層と言うのは、社会的影響力があり且つ(香港に)格別の気持ちを抱いている"ファン"を敢えて「香港ファン」と定義をし、当地の魅力をそうした方々に今一度紹介・アピールする為であります。
このイベントの特別なところと言うのは、その主催者が、香港政府による肝入り部門(=香港政府観光局)のものであることで、更には、選定された所謂"スーパーファン"に対する扱いが特化している点(香港渡航が全面招待制)であることにあります。
事実、この段階に至る過程では香港政府(観光局)は態々世界20カ国にある政府観光局のオフィスを通じてその「スーパーファン」を募集・選定すると言うプロセスを実行し、文字通り、"時間"と"コスト"を掛けた一大プロジェクトのひとつであったという事にその真剣度が計り知れます。
この点に限っては、あくまで公平にそのプロセスを行なった上でその「スーパーファン」を設定・定義・選別し、(中華圏にとっては)年間で最も重要な時期と捉えられている春節(旧正月)に、そうした"スーパーファン達を、"バーチャルツアー"に招待すると言うイベントを創出することになったのです。
香港政府観光局はその目的を、「もともと香港を"再発見"してもらう為のキャンペーンである『Holiday at Home』の他に、このような新たなイベントとなる『香港スーパーファン』を設定することで改めて世界中の旅行好きな方々と香港のコネクションを高める為の第一歩になる」と宣言し、今後はその成果に期待を寄せているとのことです。
<財政支出>
香港政府は2021/22年度の香港財政予算をこの程発表する形となしました。
2020/2021年度に関する結果は、約2,576億香港ドルの財政赤字となり、来年度は1,016億香港ドルの赤字が予想されています。このような形で政府発表の歳出については芳しいものではありませんが、こうした"出血"から得る香港居住者への経済的な充足振りは"満更では無い"ものであると言っても良いかも知れません。貴方が香港市民だったとしたら以下をどう捉えるでしょうか?
1) 個人に対する優遇措置
・5,000香港ドルの電子商品券、18歳以上の香永久居民及びへ新規入居者への配布
・2020/2021年度の給与税及び個人所得税が100%減免(上限10,000香港ドル)
・住宅用の電気代、一戸あたり1,000香港ドルの補助金
・失業者に対するローン、上限8万香港ドル、年利固定の1%、返済期間は最長5年
2) 法人に対する優遇措置
・2020/21年度の法人税を100%減免(上限10,000香港ドル)
・2020/22年度のBR (商業登録証費用)を免除
・利息金利ローンの申請を今年末まで延長。ローン上限額600万香港ドル
3) 生活の向上
・野外公演施設の改善に5億香港ドルを準備
・ハイキングコースの改善に5,500億香港ドルを準備
・サッカー場施設に3億香港ドルを準備(5年計画)
※5,000香港ドルの電子商品券に関する詳細は、別途香港政府から案内される予定。