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メリット?デメリット?買収手段についてのいろいろ

更新日:2021年03月30日

例えばですが、仮に海外での事業を何らかの形で拡充する為に「買収」という手段を検討することになった場合、「株式買収」vs「資産買収」と言う2つの買収形態が選択肢として挙がります。


そして子会社形態による海外進出の場合は、現地に新たに子会社を設立するのが良いのか?それとも(現地企業を)買収する形が良いのか?という見方があり、それらを経営上の判断として取り扱う必要があるでしょう。


しかしながら、その中の後者である"海外で買収を行う"と言う方向で意思決定したような場合では、更に現地企業の株式を取得する「株式買収」と、(現地に新会社を設立の上で)現地企業から資産(及び関連する負債)を取得する資産買収のいずれかの形態を選択する必要があり、この判断をする際には同時に税務上の要素が大きく関わって来ることになります。


通常、こうした買収の際は「株式買収」の形態が取られることが多いと思われますが、「資産買収」の形態も検討することが重要であり、その選択にあたっては検討すべき事項があるのは以下の通りとなります。


先ず、根本的な部分における選択のポイントというのは、「買収対象となる会社のベネフィットを引き継ぎたい場合には株式買収の形態を取り、買収対象の会社のリスクを切り離したい場合には資産買収の形態をとる」と言うことです。


以下は具体的な内容となります。


(1) 株式買収の場合
「株式買収」の場合は、基本的に買収対象会社が有する権利・義務がそのまま引継がれることになります。したがって、買収対象会社が繰越欠損金を保有している場合や優遇税制の適用を受けている場合、更には事業に必要な多数のライセンスを有している場合等は、「株式会社買収」策が有利になります。ただし、「株式買収」の場合、買収対象会社の過去の処理に起因する租税債務や税務リスクが切り離せない点には注意が必要となって来ます。


(2) 資産買収の場合
「資産買収」の場合、海外子会社は、基本的に"新会社"として新たなスタートとなります。従い、この方法を選択すると買収対象会社の過去の処理に起因する租税債務や税務リスクを自動的に切り離せるため、例えば税務上の問題が多い買収対象会社の場合に有効となる手段です。ただし、「資産買収」の場合、買収対象会社の繰越欠損金や優遇税制は基本的に引き継ぐことができないことを留意して置かなくてはなりません。


最後に、上記の"豆知識"として「資産買収」には憂鬱な面があることをご紹介して置きましょう。仮に (事業は魅力的だがリスクが高すぎる)と言うような企業を買収するような場合、実務上は「資産買収」を選択することが的確であり賢明な選択肢と言えるでしょう。

しかしながら、この買収は、買収側の実務担当者にとっても、税務アドバイザーにとっても、かなり憂鬱なものとなる可能性を含んでいます。

何故なら、企業丸ごと買収できる「株式買収」とは異なり「資産買収」の場合には、買収する資産を一つ一つ特定していく必要があり、その確認にかなりの手間を要することになるからです。

また、各資産の買収にあたって、現地で付加価値税(日本の消費税のようなもの)が課税されることも多く、しかもその還付が必ずしもスムーズにいかないなど、頭の痛い問題が各種発生することを思うと、そうした面を抑えた上での「買収」と言うのも全体を俯瞰する上では必要と言えるかも知れません。

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