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今度は「移民法」の制定。着々とステップを踏む大陸と翻弄される香港

更新日:2021年05月05日

香港では(香港)市民の願いなどは馬耳東風とした形で大陸側の"国内化"が着々と進んでいます。そんな思いに改めてさせてくれた新たな法規制が4月後半となる28日に香港立法会(議会)から発表されることになりました。

その内容はというと、今年の8月1日から、香港市民の入出境に制限を与えるというものです。この法規制は別名として「移民法」といわれており、これは香港当局の権限を増強するという内容のものです。


具体的にはどのようなものなのか?ということですが、いくつかのメディアからの発表記事を元にすると、香港への出入りと関して当局は裁判所の権限を飛び越えた超法規的な力を付与されるものとなっているとのことであり、これは言い方を変えると香港へ入る人間及び出る人間に関する判断を全て当局が"独断"で出来ることを意味することになります。


一部の弁護士らはこうした措置について(中国本土側同様の)事実上の出国禁止措置に相当するとの認識を持つ者もおり、(香港内においては)その内容について一層の警戒感を強めていると言うのが現況であると言えます。


なお、香港政府側としての本制度に関する見解は、治安部門のトップである李家超(ジョン・リー)保安局長のコメントである「不法移民の増加を防ぐなどの試練が増えている」ということを引き合いとして出し、同氏が加えた「移動の権利は引き続き保障されており、香港政府は近々にも付属的な法規制を導入する」という見解から、この法律制定についての過大な解釈の拡大は本意ではないとの見方を表明し牽制をしているような状況です。


では、こうしたことを受けた香港市民はどのような印象を抱えているのでしょうか?昨年の「国家安全維持法」施行以来、次第に顕在化する大陸側の外堀を埋める流れと、彼らの精神的な拠り所と考えられている西側諸国のサポート(例:英国のBNOなど)の間に右往左往していると言うのが実情なのでしょうか?


真の実態を表すのかどうかは別として、弊社が行ったいくつかの層への調査の結果、以下のような流れが香港市民の中には存在することが分かりました


先ず最上位に位置する層(富裕層)の反応はと言うと、彼らが資産を預託している先と考えられるプライベートバンキング業界からの見解として、現時点までの状況について"俯瞰"を決め込んでいる節があると言うこと。これは委託を受けている資産の移管・変更などが殆ど発生していないと言うデータに基づいているのが理由です。

また、香港への流入資産と流出資産を足し引きすると流入資産が上回ることが彼らの見解のベースともなっており、強ちこの見立ては"正解ではない"とは言えないようです。ところが、一般市民層に目を移すとBNO申請者の中核を担うのがこの層であり、国外への脱出については"より現実的に考えている"と言う姿勢が色濃く出ていると言えます。

最下層については最早、諦めの段階でアクションを取れず、座してその運命を待つと言うのが適当なのかも知れません。


従って、今回の「移民法」のターゲットと言うのはBNOを申請したような中間層に対する制裁的な措置として考えられなくもなく、BNOへと傾きつつあった世論を抑制する狙いが当局側にある可能性もあります。


結果的に市民側にとってはその選択をどうするかによって今後、香港への"里帰り"すら当局判断で拒絶される可能性があることを考えると、まさに"踏み絵"のような状況。予測される8月1日以降の風景の中に、どのような"新しい色(動き)"を西側が入れることが出来るのかが、今からの焦点となりそうです。

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