「節税」の方法は国際化にわたるオペレーションを持ってい企業にとっては命題のひとつと言えるでしょう。る特に香港のような軽課税地域などに海外子会社を置く企業にとってはその目的達成のために様々な方法を検討する必要がありますが、お抱えの税理士などは国内一辺倒というケースもあり、中々物事が先に進まない傾向も存在します。今回はこうした面での総括として、以下ポイントをまとめさせて頂きましたので今後の税務対策を練る際の一助としてご利用ください。
海外展開をしている企業が節税案を検討する際には、一般的に以下のような手法が存在します。
1.海外子会社の税率(支払税額)を引き下げてみる
グループ全体の税金を安くするためには、まず、子会社の税率(支払税額)を引き下げるということが考えられます。具体的には、香港やシンガポールのような低税率国に子会社を設立したりすると子会社自体には税負担が軽減されると言う効果が見込めることができます(但し、その子会社に関して日本でタックスヘイブン対策税制による合算課税が行われる可能性が高いため注意する必要があります)。
また、海外子会社にはその国特有の優遇税制が敷かれている可能性もある為、それを適用させるといった方法も存在します。こうしたことを行っても税率の引下げが難しい場合には、繰越欠損金の利用、例えば欠損金を持っている現地企業の買収などが考えられます。
2.海外子会社に利益を付け替えてみる
日本は世界有数の高税率国であるため、グループ全体の「所得」について、海外子会社により多く配分されるように調整すれば、海外子会社の税金が多少増えても、日本親会社の税金がそれ以上に減ることになります。
例えば香港のような低税率地域に進出した子会社がある場合、その子会社に資産を持たせることができれば、より多くの所得が海外子会社に帰属し、グループ全体としての税負担が小さくなる可能性が高くなります(然しながら、この場合にも移転価格税制に注意が必要となります)。
3.日本親会社への利益の戻し方を考えてみる
海外子会社からの配当により利益を還流させる際、中間持ち株会社を間に挟むなどして配当の経路を変更すると、配当に伴うグループとしての税負担が小さくなることがあります。
また海外子会社売却する場合、海外子会社に事前に配当させることで、「売却益」をより有利な「配当」の形に変えることも可能です。
4.日本親会社に利益を付け替えてみる
仮に日本親会社に使い切れないほどの繰越欠損金がある場合、配当還流から利息還流に切り替えると、海外子会社側の利息の損金参入効果により、グループの税負担が小さくなる可能性が高くなります。ただし過小資本税制等、海外子会社側の利益の損金参入制限変化に注意が必要となります。
5.海外子会社から多額の借り入れを行ってみる
高税率の日本親会社が低税率の海外子会社から借り入れを行うと、グループの税負担が小さくなる可能性が高くなります。ただしこれも移転価格税制や過大支払利子税制に注意が必要となってきます。
上記の方法論というのは何れも国際税務で注意点とされる税制の代表格である移転価格税制やタックスヘイブン対策税制、或いは過小資本税制、過大支払利子税制と言ったものとの兼ね合いが出てくることになる為、プランニングを行った際の最終的な監修というものについては国内で海外税務に詳しい専門家への相談が不可欠でしょう。
然しながらこれらの内の幾つかを導入出来ることになれば、一定の税効果が見込める為、企業として内部留保出来る金額の維持に大きく貢献する可能性を含んでいる点を忘れてはなりません。