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いよいよ"タックスヘイブン"と言う呪縛を振り解こうとする先進国。香港への影響は?

更新日:2021年10月19日

ひと昔前の世界は製造業が産業の中心であり、各国の政府や税務局の関心というのはこうした企業から"どのように税収を得るのか?"と言うことでした。1990年代後半までは自動車や船舶と言った重工業達が幅を利かせ、またこれらの産業構造を念頭とした税制が敷かれていた訳ですが、21世紀に入って世界はインターネットの出現により大きな変革を求めれることになりました。


所謂、「情報」というものが我々の生活の中心になり始めることで、それまでの基準では到底考えられなかった爆発的なスピードで世界が"融合"することになりましたが、この発展の原動力となったのは今のGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)達であったことに異論を挟む人は少ないでしょう。彼等はネット産業の寵児達と言え、今や国や国境という概念すら越えて地球規模での拡張を続けています。

さて、こうした現状に対して税制、特に国際課税と言う分野において世界はどのように対処を行なって来たでしょうか?率直に申し上げるとその対応は場当たり的であり、また企業を誘致したい各国の事情も絡み合い、対策そのものはバラバラに行って来ていたと言うのが実情です。


結果、これらのユニコーン企業達はそうした穴を突くことで極端に支払税額を圧縮することに成功して来た訳です。彼等はお抱えの税務専門チームを社内に抱え、徹底的に現代税制のループホールを利用し巨額マネーをそのグループ内に内部留保して行く事に成功して来ました。一説によると、彼等が支払う税額と言うのは、(天文学的な)売上額に対して何と一桁台の前半(?)に着地しているとも噂されるほどですからその"傍若無人ぶり"が分かろうものです。


このような状況に対して以前から強い懸念を示していた世界列強国達は2013年から本格的にその対抗策と言うものをOECD(経済協力機構)の会合の場において議論して来ましたが、それが今回、ようやく最終合意に至ることに漕ぎ着けたのです。


合意の柱と言うものは、企業誘致を目的とした法人税引き下げ合戦に歯止めをかけることと、課税逃れを防ぐために最低税率制度(15%案)を導入すると言うものです。特に15%の最低税率は画期的なものであり、それはGAFAのような国境を跨ぐ巨大企業達にとっては大きな痛手となる筈です。何故なら売上の10%を超える利益の内の25%については、彼等の行うサービスの利用者が居住している国で課税されることになるからです。


つまり、例えばAmazon社が香港で売上を100億円上げ、その利益が30億円だとした場合、10億円超となる部分(つまりここでは20億円)が先ず課税対象の範疇と分類され、その25%(5億円)が香港の課税対象となる利益として加えられると形となります(この場合、5億円に対する法人税率がチャージ)。このルールが適用されると結果として各国は自国での大きな税収増が見込まれることとなり、今までやりたい放題やられていた領域(?)の主権を、ようやくその手元に取り戻す形となる訳です。ただ、そうなってしまうと香港やシンガポールと言ったタックスヘイブン地域・国のメリットというのは色褪せてしまうのは免れません。


尚、この新税制導入は2023年からの本格導入(一部の国を除く)とのことですが、これを受けたGAFAの一社であるFacebookはその声明でこの136ヵ国の合意を"嬉しく思う"とだけ淡々とコメントしています。感情的なリアクションではなく、"無表情"とも言えるようなこの反応には何か不気味なものすら感じ取れる向きもありますが、果たしてこれに対する何らかのカウンター(秘策)を用意しているのでしょうか?憶測とは言え、そんな疑念すら浮かんでしまう彼等の反応が、導入年以降に繰り広げられる激しい攻防のファンファーレのような気がしてなりません。

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