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過信が招いてしまった?オミクロン変異株対策に追われる香港の現状

更新日:2022年03月17日

新型コロナウィルスの変異型であるオミクロン株の猛威は、それまで"コロナ優等生"であった香港をあっさりと飲み込んでしまいました。そう遠くない過去の段階ではゼロ更新を吹聴する余裕すら醸し出していた当地ですが、今や連日の感染者数が数万単位、2月27日にはとうとう34133人を記録することになり、政府は今までの自身が粉々に砕かれる挫折を味わっています。現地では、用意している病床が全く追いつかない状況に陥っており、その風情(の一部)は既に"野戦病院"かのようになっています。

これまで対コロナにおいて優秀と言える実績を創出して来た香港にとって、この脅威の感染力を誇るオミクロン変異株が与えたショックと言うものは計り知れません。そのインパクトが与えた影響は(我が国を含む)他の国々のそれよりも遥かに大きかったかも知れないと言えます。


香港には、2000年初頭に発生したSARSような凶暴なエピデミックを克服したと言う実績から来る自負であったり、また今回の新型コロナウィルス感染症においても、他の国々が羨望するような結果を作り続けて来ていました。


それだけの"経験値"を持つことになっていた香港だけに、その自信をいとも簡単に粉砕することになったオミクロン変異株の威力に打つ手打つ手が後手後手の印象がより強調されます。実際のところ、当地の人口はベースとして日本の17分の1しかないことを考えた場合、先般、記録することとなってしまった"5万人越え"と言うのは東京の分母からすると、何と感染者数で"94万人"相当になってしまう計算になる為、香港政府の"狼狽ぶり"は察して余りあろうと言うものです。


またこれだけでなく、タイミング的にも"最悪"と評して良い時期と重なってしまいました。それは、あろうことか親(中国)が国の面子と威信をかけて開催した北京での冬季オリンピックの期間中に感染が大爆発してしまったからです。

香港にとって不幸中の幸いだったことは、五輪開催地と香港が地域的に離れた場所であることだけでしたが、香港だけを「軸」として考えると、優等生であったが為に心の中に巣喰ってしまった油断=楽観視が大きなツケを支払うこととなってしまったのは確かです。結果として感染防止の目処が立たぬままあれよあれよと言う間に一気に万単位まで数値が上昇すると言う失態を犯してしまいました。


それは言わば、備えた時の強さは盤石である者が一旦守勢に回ると馬脚を現し挽回出来ぬまま押し切られてしまう、と言う負け戦(まけいくさ)の典型と言ったところでしょうか?

何れにしても、今向き合っている現状からの脱却が急務であるのは確かなことです。以下は2月8日に発表された具体的な施策となりますが、どんな内容となるのかを見て行きましょう。

2月8日、香港政府は今までで最強レベルの防止策の発表を行いました。

林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官によると、それ以前まで認めらていた公の場での集まりは4人から2人までに変更。また、ワクチン接種証明済みでなければ訪問出来ない場所のリストにショッピングモール、フードマーケット、美容院が加えられています。

更に家族同士での集まりにも制限が加えられて2家族までに限定。こうした事で住民の行動に制限を加えながら、PCR検査を4月までに全住民(約740万人)対象に実行することを宣言し(拒否をした場合は罰金)、そこで陽性者となったものは別途徹底隔離の実施としています。

一方、"水際"対策としては英国や米国、豪州などを構成国として合計8カ国の旅客及び貨物機の香港国際空港への着陸を3月初旬まで禁止、と言った非常に厳しい内容のものです。

またそれ以上に現在検討されている手段の一つは、中国側から提案されている域内のロックダウン。表面的には決定→導入には至っていませんが、今後の感染者数抑制が政府の意図した期間の中で減少傾向や抑制が出来ないようであれば、この最終手段が実しやかに現実味を帯びてくることになります。

事実、ロックダウンの導入とその拘束期間が当地に与える経済的な負のインパクトと言うのは決して生易しいものではないことを考えると、仮にオミクロン変異株を封じることが出来たとしても、その後は硬直化してしまった経済の立て直しと奔走しなくてはならないことになるでしょう。

何れにしても、現状としてはオミクロン変異株の猛威により"かつてない"ほど逼迫した状況に陥ってしまった香港の現状。

"前門の虎、後門の狼"ではないですが、香港の主権を維持しながらこの難局を乗り切って欲しいと願うのは、自由社会に属する我々だけではないでしょう。

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