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必ずしも"ネガティブ"なものばかりではない?香港の現況について

更新日:2022年05月24日

現代はまさに情報化社会の坩堝(るつぼ)と言えます。今ではインターネットが一般的なツールとなり、もはや社会インフラの中心となって久しいものですが、この中に溢れる情報と言うのは、利用者に現実の世界を正確に近い形で案内するものもあれば、(何らかの意図を持って)ワザと"間違った"情報を流して撹乱するようなものも存在します。特に後者の流す情報と言うのは、例えば前回の大統領選でドナルド・トランプ氏が度々言及した"フェイクニュース"と称される類のものであり、結果として一定の"毒性"を多くの利用者達のマインドに植え込んで行きます。

今回取り上げるテーマと言うのは、改めて"香港の現況"に関するものです。

実際のところ、こうしたことがしっかりと語られている情報を探し出すと言う作業は中々骨が折れる作業である訳ですが、見方については大まかに分けて行くと大体2つに絞られていると言えます。それは香港内に居る方々の実感と、もう一方では香港外で受け取る情報で判断すると言うものです。両者の質と差はかなりの乖離があるのは事実ですが、本稿ではその両方をかなり平均化したバランスで見ていると考えられる日本領事館の現総領事、岡田健一氏(大使)が語る"香港の現況"にご案内します。

同氏が見る「香港」と言うのは、こと政治面においては、これまでの「高度な自治」を標榜出来ていた都市ではあった訳ですが、この点は"中国共産党のコントロール下に置かれるようになった"と同氏は言及しています。
また、これに付随する形で行動、教育等における自由を制限する動きも出て来ていると認め、子供の教育への懸念から海外など人材流出の増加が見られていると言うのもネガティブな面のひとつとして事例を挙げています。一方、ポジティブな面についても同氏は説明しており、具体的には英国の最高裁判事などが依然として香港の終審裁判所で判事を兼職している事実であり、香港が掲げている司法の独立については今現在でも確りと維持されていると言うことです。

更に同氏は、香港に対する反外国の制裁法の適用の見送りであったり、香港証券取引所の外国人登用などの事例を取って見ても、香港が依然として一定の裁量権を維持していると言うことが伺えるとその所見を述べています。つまり、中国政府は(現時点であっても)香港の経済的な有用性と価値を確実に認めており、これらを毀損しないように慎重に対応していると言う"配慮がある"と言う事なのです。

また、中国が導入させた「国家安全維持法」に対する日本企業の懸念と言うのも"最低レベル"にまで引き下がっていると述べている点も注目に値することでしょう。こうした日本企業のスタンスは、香港における対内直接投資額が2019年から増加傾向の曲線を描いているからであり、その意味でも当地は依然として世界有数の投資先としての魅力と地位を維持していると帰結することが出来る訳です。

勿論、香港市場全体の株価の低下や、中央政府の国内ハイテク関連企業規制の強化等によって、香港IPO市場が不活性化していると言う面はあるものの、ここ数年のトレンドだけで「国際金融センター」としての地位が低下したと判断するのはやや時期尚早であるのは明らかです。何故ならば、各種のランキングに置いても香港が順位を下げているものは僅かであり、むしろその多くは一貫して首位を保っているものであったり、中には順位を戻しているものも存在する程です。例えば世界金融センター指数(GFCI=The Global Financial Centre Index)と言う基準軸においても、香港の総合順位は2020年3月公表の第27回ではデモの影響などにより一旦は6位へと低下しましたが、2021年9月公表の第30回では再び3位に返り咲くなど従来得ていたポジションと数字を今では戻しつつあると言えるのです。更に"デジタル"化や"優秀な人材"と言った個別項目での比較では、従来の評価と較べて順位を上げていると言う分野もあります。

故に、同氏の総評としては香港の国際金融センター及び中国へのゲートウェイとしての機能は、現在でも維持されているものであり、場合によっては"強化されている"とのものでもありました。

今後は一層、GBA(大湾区)や北部メトロポリスといった新たなビジネスチャンス生まれていることもある為なのでしょうか(?)、一時撤退の流れが"顕著"であったと評されていた欧米系企業の在港件数は既に下げ止まっており、故に昨今の香港に関連する報道や日本本社の悲観的かつ表面的な受け止め方と言うのは、必ずしも香港の現況と将来の絵姿を正確に反映していない可能性が高いと言えます。何れにしても、こうした実態と報道のギャップが表出化され、そして人々の認識の修正が行われた暁には、香港が以前の立ち位置以上の地位を物凄いスピードで獲得する可能性があるのはおとぎ話の類ではなく、現実的な視点からの要マーク事項のひとつであると言っても良いことかも知れません。

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