1. TOP »
  2. 法人設立お役立ち情報 »
  3. 香港 »
  4. 香港一般

香港法人・オフショア法人設立お役立ち情報

香港 > 一般

香港が"プラットフォーム"となるか?、人民元のデジタル化

更新日:2022年05月06日

昨年の6月、香港の"金融庁"とも言える中国香港特別行政区金融管理局(HKMA)はそのウェブサイトで「フィンテック2025」を発表し、中国人民銀行(People's Bank of China)とともに、今後はより一層、中国の通貨である人民元のデジタル版、デジタル人民元、の実証実験を継続・強化して行くことを明らかにしました。

その内容は5つの項目(①銀行業のデジタル化推進、②中央銀行デジタル通貨(CBDC=Central Bank of Digital Currency)に関する研究の強化、③データーインフラの潜在力発揮、④フィンテック用の人材バンクの拡充、⑤資金と政策を活用した発展支援)から構成されており、特に②のCBDCについては"ホールセール型"及び"リテール"の両面からの研究を推し進めて行く事を明言しています。

また、この発表の中ではデジタル人民元の越境決済に関する実証試験も"既に行われた"と帰結しており、現在では次の段階=(携帯電話を通じて香港域内決済に使用されている高速決済システムをこのデジタル人民元に転用)に突入したとの内容も加えられています。

更にこのプロジェクトは国際決済銀行(BIS)の香港イノベーションハブセンターと協力することで香港ついてもリテール型CBDCの研究が進められており、その流れで"デジタル香港ドル"の研究(例:各々の使用場面やそのメリット、また関連付けされるようなリスクも検討)も含まれているとの事です。

何れにしましても、この中国の"デジタル通貨"政策は人民元及び香港ドルともに一大キャンペーンを実施してると言うに相応しく、そのお披露目の一部は、既に先に行われた北京冬季五輪の中でのサービス提供と言う姿で実践投入されていました。こうしたことを鑑みると、中国の本プロジェクトに関する真剣さは"かなりのものである"と評価しても過言ではないでしょう。

では何故、こうした動きを中国はこれほど本腰入れて行う必要があるのでしょうか?

これに対する見解は昨今の国際社会の"反応"を見てみる事によって、その背景に横たわる中国の野心と言うものを炙り出して行くことが可能です。例えば西側諸国の代表格であるアメリカに目を移すと、既に同国共和党議員のひとりが財務省と国務省に対して外国人のデジタル人民元の利用率や発行総額などの報告を求めたとの事です。

その理由は、国際金融の世界の中で誰もが認める"基軸通貨"を要する米国に対してその支配権への"明確な挑戦"であると言う側面から来る警戒と、香港を含めた中国国内、或いはこの新しい通貨を使用する個人・法人が"デジタル"と言う媒体を介在する事により、この通貨がまるであたかも"センサー"のような機能を纏う事で人々や企業のお金の動きを統治者がリアルタイムで把握することが可能となると言う危険な面の2点です。

つまり、デジタル人民元が市場に投入されると言うことは、それを使用する人々の生活圏の侵食を意味するに等く、その意味ではデータを利用する側(例:国)の事情や嗜好、或いは判断によって国民や企業は意のままに"操られてしまう"可能性を示唆している事になります。

但しこれは、決してネガティブなことばかりであるとは言い切れないのも事実です。例えばマネーロンダリングや脱税摘発と言った犯罪行為の早期発見に役立つと言う側面であったり、特定の業界や地域などの資金の動きを把握する事でその支援も迅速化させると言った施策も可能になる為、社会貢献の為の強力なツールとなる面も備えています。

特にこうした面では(香港のような)国際金融都市にとってネガティブな面よりポジティブな意味合いで恩恵が与えられる可能性は大きいでしょう。そうした場合、社会&経済的に大きなパラダイムシフトがこの域内を中心として世界に発信されると言っても過言ではない筈です。

▲ページのTOPへ

スマホサイトを表示