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円安が"演出"する(?)香港人投資家達が何故日本に不動産投資を挙って行うのか?

更新日:2022年05月17日

4月26日発行の香港紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」によると、香港での不動産購入熱が急速に増して来ているようです。同紙の社説では、外国為替における円相場が約20年ぶりの円安・ドル高水準(4月29日付:130円突破)で推移する中で投資家が2年ぶりに日本の不動産市場に関心を持ち、本格的な売買の検討に乗り出したと謳っています。

香港地場の不動産仲介業者などによると「今月(4月)になり、日本の不動産物件に関する香港市民の問い合わせが40%増えた」とあり、その目的の多くは投資や短期滞在をする為の購入を前提としているとの事です。

具体的な購入検討予算枠は超高額な億単位などではなく、むしろ150万〜200万香港ドル(邦貨にして約2,400万〜3,300万円)周辺で推移していることから"お手頃感"が感じられる範囲であり、その為なのか(?)問合わせから得る顧客の意欲にはかなりの"熱"が伝わって来ています。事実、一部にはこれを称して早くも日本不動産の"プチバブル"と断言する専門家もいる程との事です。

こうした購買意欲に拍車が掛かる背景としてもう一点妥当な理由をあげると、この"日本不動産バブル"(?)のベースと言うのは、域内の通貨である香港ドルが米ドルの値動きに一定の範囲内で連動する「ペッグ制」を採用していると言う事も後押ししています。

つまり、上述の"円安・ドル高"と言うトレンドと言うのは、直に香港ドルの値動きにも繋がっていると捉えている為であり、この機に一気に物件購入を行うことで、将来"逆ブレ"する機会でのエグジットを狙っているとも考えられる訳です。これは如何にも投資の機会損失を嫌がる香港人ならではの"性質"を物語っていると言えます。

また(ここからは憶測の具合が強くなりますが)、日本などの諸外国への投資を行うと言うことは、別の理由があるとも考えられなくもありません。それは、香港人にとって(域内を含めた)中華圏でのキャッシュフローの一部を外に移して置きたいと言う思惑(願い)がある為です。これは、彼らにとって今後の生活や人生設計を念頭として考えた場合、自らが生活の拠点としている香港が今まで以上に"共産化"する可能性が十分にあり得るからであり、故に今の内に多少なりとも自分の資産を"キャピタルフライト"させておく事で将来の家族の繁栄を支える"下地"を作って置きたいと考える向きがあるからです。

こうした考え方と言うのは(西側のマインドセットが深く刻印されてしまった)香港市民にとっては至極当然のものであり、もっと言うと"自由を奪われる"="精神的ストレス"となっているひとつの表れと形容出来る類のものかも知れません。今回の為替の事象ひとつ取っても、一見、何の事もない海外投資ではありますが、置かれている立場をフィルターとして翳した場合、もっと彼らの心理の奥底にある願望や恐れの可能性を内包してるものと言えなくはありません。

現在ではコロナ禍などのパンデミックでやや"頭打ち"になってしまっている感のある移民へのステップではありますが、長い時間、それこそ10年や15年のスパンの中では流出化が(結果として)実現する可能性は、実際のところ、未だに残されています。それが今後は今回のような円安・ドル高が産み出す市場の歪みから資産流出→移民へと続くのか?或いはBNPのようなダイレクトな動きが(ロシアvsウクライナなどの)戦争の余波によって、玉突き的に加速がかかって行くのか?

将来のことは誰も正確に予測は出来ないものではありますが、こうした面で今回の不動産プチバブルを見て行くことも一考の価値はありそうです。

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