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香港市場を利用してアジアを席巻する中国企業の最終目標とは?
更新日:2022年08月12日
"時価総額"という考え方はひと言で表現するとその企業の信頼性を示す指標のひとつであると言えます。
換言するとこの時価総額が高い企業と言うのは体力的に非常に安定していると言うことでもあり、株価とは別の意味で企業を質を測るバロメーターであるとの表現も成り立ちます。例えば日本を代表する企業の一つであるトヨタ自動車についての株価が仮に2022年の8月初旬(4日)の数字である2,091円であるのに対して任天堂の株価が56,930円(2022年8月4日)となっていますが、では任天堂がトヨタの27倍強の市場価値を持っているのか?と言う問割れると、必ずしもそうではありません。
何故なら両社の発行株数が綿密にこれに関わるからであり(例:トヨタ自動車160億株発行済みに対して任天堂は1.2億株の発行済み株式)、時価総額的な視点を通してこの2社の価値を見ると、逆にトヨタが任天堂を凌駕すると言う結論へと到達します。つまり言い方を変えると、投資家がトヨタ自動車の成長性や収益力などの「稼ぐ力」を解釈の軸と見た場合、任天堂の約5倍にすらなると言うことなのです。
さて、やや前置きが長くなりましたが、そんな感じで香港市場における時価総額ランキングというもの見て行くと、現況ではどのような国のどのような企業が名を連ねているものなのでしょうか?
以下が現在のトップ10との会社と時価総額になりますのでご紹介しましょう。
1 テンセント・ホールディングス(2兆9766億7026万5322円)
2 China Mobile Ltd.(1兆7148億2169万2624円)
3 HSBC Holdings plc (1兆6059億7941万3780円)
4 中国建設銀行(1兆5627億1257万9220円)
5 AIA Group Ltd.(7431億6029万6495円)
6 Prudential plc(4814億8776万2287円)
7 中国工商銀行(4747億6342万3689円)
8 Glencore plc(4595億7699万9397円)
9 Ping An Insurance Group(4315億8708万2050円)
10 BOC Hong Kong(Holdings)Ltd.(4065億2340万1228円)
勿論、前述のトヨタ自動車などの時価総額は既に現在35兆を超える額ではありますし、米国のテスラなどについては100兆円越え(!)と言う天文学的な数値を弾き出しているので上記の会社たちはむしろ小ぶり(?)にすら見えなくはありませんが、それでも鎬を削るような上場市場にてこうした実績を残していることは、一重に彼らの努力の賜物と言えます。
そしてこれらトップ10の企業の話に戻ると、すぐさま、"ある顕著な傾向"があることに気がつきます。
それはこのリストを占める企業の出身国です。
2000年代に入り、それこそ"官民両輪"の体制で奮闘して来たことで飛躍的な躍進を遂げるに至った中国(及び中国企業)がこのリスト上位の殆どを占有している事を無視することは出来ません。この中で唯一、健闘している国と言うのは旧宗主国の英国と米国絡みの企業だけですが、残念なのは、ここに我が国の会社がひとつも入っていないと言うことです。盛者必衰の掟(オキテ)が必須である経済界とは言え、これには一抹の寂しさすら感じてしまうのは我々が日本人だけではないでしょう。
事実、上場されている中国企業のひとつで(且つ)現在のトップでもあるテンセント・ホールディングスなどは、その設立年が僅か前の1998年のことであり(サービス開始は翌年の99年)、事業運営も間もない2004年の6月には香港市場で上場を果たしてしまうと言う偉業を成し遂げています。つまり、僅か20年程度で世にあるほとんどの企業を追い抜いてしまったと言うことです。
情報の多くがシングルソースとなる傾向が強い日本にいると同社の躍進は余り見聞きしないものではありますが、ところ変わる中国、特に(香港を含む)深圳と華南地区ではその存在感は絶大であり、中国ITの一角を担う基幹企業のひとつにまで成長しました。ちなみに同社の基幹事業と言うのはオンラインゲームとウェブポータルとなりますが、近年ではWeChatに代表とされるSNS事業や決済サービスでも手掛けており、その成長の勢いは益々スピードを増していると言っても間違いではありません。
そしてこうした企業の今後の最終的な「目標」と言うのは、先にアリババが行ったかのような(NYSEなどを筆頭とする)他市場での上場です。つまりそれは世界征服的な規模感を纏ったものとなるのは明らかであり、時代がこれらの企業の躍進に手助けをする可能性は(基幹事業の性格上)甚大だと言えます。
実際の話では、これからの時代のサイがどのような形で振られるのかは誰も分かりませんが、そうであったとしても香港市場に上場する企業に対して投資を検討するとしたならば、今回のテンセントを筆頭とした系列の株式購入は本当の意味での"当たり"となる可能性は十分にあると言っても過言ではないでしょう。