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香港の未来はどうなる?ヒタヒタと忍び寄るシンガポールの存在の意味とその打開策とは?
更新日:2022年09月14日
長年に渡り、香港とシンガポールは「自由金融都市」と言う切り口でその順位を争って来ました。つまり、"永遠のライバル"的存在として発展して来たことになる訳ですが、こうした要素と言うのはお互いがお互いを切磋琢磨させる為の重要なエッセンスであり、まさに"必要不可欠"、その経緯を読み込んで行くと結果としてお互いの経済を推進する大きな原動力であった訳です。
では定量的な視点から両者を単純に比較して見るとどうなるでしょうか?結論として申し上げると香港がシンガポールに対してエッジを"突き付けている"状況ではあります。しかしながら、最近になってその両者のポジションと言うのはかなり拮抗してくる状況となって来ているのも事実であり、このバランスは何かの拍子にひっくり返ってしまうようなことも十分あり得る話です。
勿論、両者を近づけた要因と言うのは主として香港にあり、大きく分けると2つの理由に帰属します。その1つは(中国からの)政治的な圧力→軋轢であり、もう一つはコロナ蔓延が与えた世界経済へのダメージとなるのは言うまでもありません。
さて、前置きはここまでとして、実際の両者の世界市場での比較を通してそのポジションや現状というものを見て行くことにしましょう。
外国為替市場
先ず前提としてあることは、この分野では欧米勢(英国&米国)の独壇場と言える市場だ、と言うことです。アジアでは東京市場が200年代までは隆盛を誇っていましたが、現在ではシンガポール及び香港以下の水準に低迷しています。ちなみにシンガポールと香港の占有率はほぼ同等レベル(8%弱)にあり、今後何らかの起爆剤があれば順位は上下することになるでしょう。
<香港vsシンガポール:引き分け>
株式市場
株式市場でダントツで先頭を走るマーケットというのはやはりニューヨークのNYSEとNasdaqです。第3位は香港と同じ中国国内の上海がつき、4位はEuronext、、5位が日本、6位が深圳、そして7位が香港と言うことになっています。シンガポールはこの分野ではほとんど存在感がなく、時価総額は2021年のデータ上では香港の7分の1程度に収まっています。
<香港vsシンガポール:香港>
債券市場
債券市場で香港とシンガポールの規模を比較すると、国際債の発行残高において香港が(僅かではありますが)シンガポールを上回る結果を残しています(2021年9月末)。ただし、このポジションはアジアで日本のそれにすら到達しておらず、又、欧米との比較では大きく水をあけられていると言えます。
<香港vsシンガポール:(僅かに)香港>
店頭で金利デリバティブ市場
この市場での取引高はアジアにおいて香港が圧倒的な数値を残しています。香港の規模はシンガポールや日本の約3倍のボリュームであり非常に競争力がある分野であると断言しても過言ではありません。しかしながらこれとて英米の占有率からすると遅れをとってしまっているのは事実でもあります。
<香港vsシンガポール:香港>
以上、世界市場をベースとしつつもアジアでの序列を比較して行くと、何も(今の段階では)香港がシンガポールを上回っている印象が色濃くなります。ただし、折りからの政治的な変動などから在港の企業の"香港離れ→シンガポールに移転"が表面化した数年前から両者の力関係は変化して来ているのも事実であることを考えると、今後、両マーケットのポジショニングの行方は些か"流動的"であるのは否めません。
仮にこのトレンドにストップが掛からない場合は何れシンガポールが香港を凌駕する日はやって来るのは否めませんが、香港が中国という"巨大な龍"を今まで以上に後ろ盾とし、中国の金融市場での新しい役割を担うことができるようになる日が来たとした場合は上述の仮説は一瞬にして吹っ飛ぶ可能性は大です。
さて、時代はどちらを最終的には望むことになるのでしょうか?